「……」

エヴァンが顎に手を乗せると、近くから声が聞こえてきて、フィオナは声がした方を見た。フィオナの視線の先には、2人の男女が手を繋いで近くにある噴水を眺めている。

「この噴水の前で、写真撮りたいな……」

「そうだね。撮ろうか」

男性と女性は、そんな会話をするとポケットからスマホを取り出すと辺りを見渡した。フィオナと目を合わせた女性は、フィオナに近づくと「すみません」と声をかける。

「……写真を撮ってくれませんか?」

「分かりました」

フィオナは頷くと、女性から写真を撮れる状態にしたスマホを受け取り、女性の後をついて噴水の前まで来た。

フィオナがカメラを女性と男性に向けると、女性は男性に腕を絡め、頭を男性の肩に乗せる。

「……撮りますよ」

フィオナのその言葉を合図に、シャッター音が鳴り、綺麗な写真が撮れた。フィオナが女性にスマホを渡すと、女性と男性は「すごい!」と先程撮れた写真を眺める。

「写真を撮るの、上手いですね」

「写真を撮るのが趣味なので」

観察力を鍛えるために写真を撮ることを始めたフィオナは、いつの間にか写真を撮ることが趣味になっていたのだ。

「そうなんですね……」