いるはずのない一輝がいきなり私を抱き締めた。



一輝に触れられるのがあんなに怖かったのに、



今嫌じゃなかった。



寧ろ嬉しかった。



恵子さんと夕顔が言った離婚。



私は一輝と離婚しようとしているの?



それを私は望んでいるの?


一輝とこのままずっと離れて暮らす。



自分に一杯問いかけてみる。



私が初めて好きになった人。



私が初めて愛した人。



辛かった関係が漸くみんなに認められた。



一輝とは何回か別れを経験し、それでも私たちは別れなかった。



結婚したら私の不安は無くなると思ったのに、



不安は益々膨らんでしまった。



それは私が一輝を信じられなかったから、



それとも私が子供だから。


目の前にいる一輝を見つめながら、



私はずっと考えていた。



そして目を閉じて、一輝と初めて出会った時の事を思い出していた。