愛しているから殺させて

「ピーター・マーキュリーさん、何かご用ですか?」

「えっ、俺のこと知ってんの!?嬉し〜!!」

ブランシュが訊ねると大げさに目の前の男ーーーピーターは喜ぶ。彼は産婦人科医を、ブランシュは脳外科医を目指しているので授業を受ける講義室は違うものの、ブランシュ同様有名人のピーターの名前を知らない人はいない。

「いつも違う女性を連れて歩いていると有名ですよ。ご用は何ですか?」

ブランシュはもう一度訊ねる。ピーターは女性を取っ替え引っ替えしていることで有名で、産婦人科医を目指すのも女性と関われるからという最低とも言える理由だと噂が流れている。そんな彼にブランシュが好印象を抱くことはできず、早くどこかに行ってくれないかと考えていた。

「そんな目で睨まないでよ〜。美人な人って怒ると怖いんだからさ〜」

ヘラヘラとピーターは笑う。ブランシュはため息をつき、「何もご用がないなら、失礼します」と素早く荷物をまとめ、帰ろうとした。しかし、「待ってよ!」とピーターに腕を掴まれる。