喋ってたらついつい足が遅くなっちゃってた......っ!
大丈夫かなぁ。
少し急ぎ足になりながらも宮槻くんのお家に着いた。
もう見ただけでお金持ちと分かるくらい立派なお家だった。
華鈴ちゃんとチャイムを鳴らすと宮槻くんが出てきた。
「ごめんね。喋りながら歩いてたら遅くなっちゃって!」
『全然大丈夫だよ。佐藤さんもいらっしゃい。暑かったでしょ?上がって......!』
遅れたかもしれないのに、なんだか宮槻くんの機嫌はよかった。
案内された部屋に入ると知らない子が部屋にいた。
『あぁ、迅(じん)と松森さんは初対面だよね。迅、松森さんだよ。今年の春に転校してきた。』
[知ってる。学年集会で見てたから。俺は西丘 迅(にしおか じん)クラスは2年4組。よろしく。]
「あ、よろしくお願いします。松森 瑚々です。」
『えっと、佐藤さんは、迅のこと知ってる?』
「知ってる。1年生の時同クラだった。」
『じゃあ、みんな揃ったし、お互いのことも知れたし、勉強始めよっか。』
宮槻くんがそう言って私たちは一斉に真剣モードになった。

お互いに分からないことを教えあっていて、わかったことがある。
わたし以外、みんな頭いい......!
私なんて、授業きちんと聞いてても分からないことだらけなのに。
教え方もすごく上手いし、なによりすごくわかりやすい。
そんなことを1人頭の中で考えていたとき、宮槻くんが口を開いた。
『結構、勉強したし、飲み物もなくなってきたから、じゃんけんで負けた2人がコンビニに買いに行くってどう?』
全員が賛成し、私達はじゃんけんをした。
結果は......
『佐藤さんと迅が負けね。じゃあ、よろしく。俺メロンソーダ。松森さん、なににする?』
「あ、じゃあ、オレンジジュースで。」
そんな会話をしてて気づかなかったけど......
私、宮槻くんと2人きりじゃん!!!!
2人が部屋を出てったあとも沈黙が続くので口を開いた。
「『あのっ!』」
宮槻くんと言葉が重なった。
逆にもっと気まずくなって再び沈黙に......。
もうっ!華鈴ちゃんが運命だとかなんだとか言うからぁ。
『松森さん......あのさ。』
「ふぇっ!?」
急に呼ばれたから思わず変な声出しちゃったぁ!
『瑚々ちゃんって呼んでもいい?これから。』
急に名前で呼ぶことを提案されたけど「あ、はい。」私は何も考えずにそう答えた。
名前で呼ぶのに許可なんているのかな。と、考えたけど隣の席だし、苗字呼びだと他人行儀過ぎるかな......。
いや、他人だし、隣の席ってことしか繋がりはないけど!!
「あ、じゃあ、この際、私も香澄くんって呼んでもいいですか?」
『いいよ。てか逆に呼ばれたい。それに敬語もやめよ?』
呼ばれたいって......なにか意識してる??
私から見る限り、耳とほっぺが少し赤らんでいる気が.....。風邪ではないだろうけど......。
『ごめん。ちょっとトイレ行ってくる』
「あ、うん。」
そう言って宮t....香澄くんは部屋を出てった。