毎日好きなことを病院のベットの上でしていたときから色とりどりの四季が5回過ぎた。
今、私は看護師になるための学校に通う19歳。
まだ病気は治ってないし、完治する可能性もあがってはいない。でも、中学校を卒業
してから、1度も入院をしていない。
こんなにあっという間に5回ずつ季節が終わっていってしまうなんて不思議だな~って、まだ夢見る世界に住んでる。   ......とでも言うと思った?
実は3ヶ月前に少し進展......というか新しい気持ち......?みたいなことがあって......。

3ヶ月前の日曜日......
退院してから私立の女子高に通っていた私には世間一般的に言う「出会い」というのが全くなくて、定期的に行く検査診察のときに見かけるちょっと上くらいの男の人で気になっていた人はいたけど、この前彼女らしき人と院内を仲良く歩いているのを見かけて勝手に失恋。
失恋の傷を癒すのは看護学校の目の前にある動物カフェ。
看護学校に入学してからなにかあるたびにここに通う。
子猫や子犬など、割と生まれたばかりの小さな動物がいるこのカフェは犬と猫だけではなく、ハリネズミやウサギ、ハムスターにひよこ、レッサーパンダなど数えきれないくらいのミニアニマルがいて癒してくれる。
いつものようにカフェに通っていた私に後ろから名前を呼んで話しかけてきた男性がいた。
『松森......さん?』
「えっ?」
その日はハムスターに癒してもらおうと手に乗っけて満足感を感じていたときに話しかけられてビックリした。
でも、後ろには見たことある人がいて......。
「......もしかして、西丘......くん?」
『そう!良かった。覚えててくれて。』
「前にお見舞い来てくれたでしょ?忘れないよ。」
あの時は、隣に宮槻くんもいたし友達だって紹介されて知りあった。
『もう、元気なの?』
「うん。すっかり元気だよ。定期的に病院には行くけど、あれから入院とかはしてない!」
懐かしい人とこんなところで会えるなんて思ってもなかった。
「なんで、西丘くんはここにいるの?」
『苗字じゃなくて名前でいいよ。呼びにくいでしょ?』
「あっ。じゃあ、迅くんで。」
納得したような顔で隣に座った迅くんもここの常連さんなんだって。
「常連同士なのに今までなんで会わなかったんだろね。」
ふと思ったことを聞いてみたけど、
『俺は何回か見つけたことあったよ?松森さんが気づいてなかっただけじゃない?でも、気づかなくてもおかしくないかも。いつも楽しそうに動物たちと遊んでたから。』
そんなとこまで見てたのか......。ちょっと恥ずかしい。
『あっ、そういえば、これ......。』
そう言って迅くんが見せてきたのは2ヶ月後にある成人式のお知らせ。
あと、1ヶ月で誕生日だから成人式の頃には20歳かぁ~。
『松森さん来るでしょ?』
「うん!行くよ!」
『それで、式の後に同窓会てきなのも計画してるんだけど......来れる?』
同窓会......。なんか大人の会話みたいで楽しい!
『中学校のやつら来るからあんまり無理強いはしないけど......。』
迅くんが心配してくれてるのは私が入院してたからだよね......。
でも、久しぶりの機会で知ってる人が一人もいないわけじゃないし・・。
「行こうかな・・同窓会。」
『ホントに!?』
「あ、でも、私一応病気持ちだし、お酒飲めないけど......。」
『大丈夫。ウーロン茶でもジュースでも。それより、体は?結構賑やかになると思うけど、』
「うん。そのことなら平気。良いことなのか分からないけど私、結構この病気に慣れてるから。」
明るく話すと、そっか。と笑って返してくれる。
『松森さん来るなら、あいつも来てくれるかな......。』
ボソッと迅くんが言っていたことは私の耳に届く前に泡のように消えてしまった。
それから、今日に至る。
いよいよ明日に迫った成人式は虹丘中の近くで行われる。
お医者さんにも同窓会に行くこと話して「行っておいで」と言われたのでめちゃくちゃ楽しみで、仕方ない。
みんな、私のこと分かるのかな・・・・。という不安も楽しみな気持ちで消えてしまうくらい楽しみ。