翌日。
私は、再び激しい痛みに襲われた。
体中が酸素を欲しがっているのに上手く呼吸が出来ない。最悪の状態。
私は一時的に集中治療室に運ばれた。
この病院の集中治療室は血縁のある人ではないとたとえ恋人であっても立ち入りを禁じられる。
集中治療を受ける人の中でも入る人はごく稀という高濃度酸素室に私がいたから。
意識はあった。でも、ただ苦しいという世界でもがく事しかできない。
人は酸素を取りすぎるとダメだからお母さんとも会える時間は少なくて。
思い出したくもない中学1年生のときの孤独感を感じていた。
私はそこに3日間いた。体調が良くなるまで。
3日後に普通のちょっと前までいた病室に戻った。
ただし、いつ、またあの痛み、呼吸困難が襲ってくるか分からないため人工呼吸器をつけて。
学校では、春休みに入っていて香澄くんも毎日会いに来てくれた。
初めて人工呼吸器をつけている姿を見たときは香澄くんでさえ激しく動揺していた。
でも、話すとかなりの体力を使うと伝えると香澄くんはずっと手を握っていてくれた。「聞いているだけでいいから。」と言って色んな話もしてくれた。
私が眠りにつくまで隣にいた香澄くんが帰り際にお母さんと泣いているなんて知る由もないほどに楽しいはなし。
人工呼吸器が取れるまで回復したのは香澄くんと私が受験生になって1ヶ月たった5月の末。
私は、入院している学生のためにある院内学校で勉強をしていた。
肩書きだけの受験生。これから自分がどうなるかなんて分からなくて不安を感じる日々。
肩書きだけでも勉強はする。中学生の勉強は社会の常識ばかりだから一生懸命がんばった。
勉強も、治療も。
香澄くんが会いに来てくれるのは1週間の最後。日曜日。
1日中一緒にいられることが幸せで、平日の治療が少ししんどくなっても頑張ることの意味は香澄くんが会いに来てくれる日曜日に少しでも元気な姿でお迎えしたいから。
院内学校で紗由香ちゃんというお友達もできて、華鈴ちゃんとはテレビ電話で話した。
体調が良くなるにつれて体についていた管みたいなのも外れていく喜び。
点滴をもちながらだけど香澄くんと病院の中庭をお散歩できる喜び。。
こんな私でも、会いにきてくれる度に「大好き」とたくさん言ってくれる香澄くんと付き合っていられる喜び。
生きていられる喜び。
治療の方向を治すことにしていなかったら余命を宣告していたということも元気だから笑い話として担当医から聞ける。
今日は香澄くんが会いに来てくれる日曜日。
『瑚々!』
名前を呼ばれるたびに自分の名前に誇りがもてる。
「おはよう。香澄くん。今日は早かったね。」
まだ午前中の10時をまわったところ。いつもならお昼くらいなのに。
『瑚々に渡したいものがあったから。早く来た』
「え!?なになに?」
『これ......!』
そう言って、手に持っていた袋から取り出したのは20センチくらいの小鉢に入った枯れない素材でできている白い花。
『花には、花言葉って言うものがあるんだ。その中でも俺が瑚々に渡したい花。本物だと、枯れちゃったり香りがきついものもあるから、造花にしてもらった。』
「これにはどんな花言葉があるの?」
『これは、アザレアっていう花で中でも白のアザレアには......
"あなたに愛されて幸せ"とか"永遠の愛"っていう意味がある。』
「え......?」
花言葉を聞いた瞬間涙が出てきた。
『瑚々!?どうしたの!?どこか痛いの?どこが苦しい!?』
目の前で慌てる香澄くんに「違うよ」と言った。
「幸せなの。香澄くんは、こんな私でも大好きって言ってくれるから。」
『瑚々、違うよ。こんな私でも。じゃなくて、こういう瑚々だから好きなんだよ。大好き』
香澄くんはニッコリ微笑んでくれてもう一度大好きといって優しいキスをくれた。
「幸せな涙、初めて流した。」
唇が離れて思った本心をポロッと口に出すと、
『俺も。初めて好きになった人が瑚々で幸せ』
香澄くんと同じ気持ちなだけで嬉しさと幸せって気持ちが体全体で感じられる。
でも、私はいつ発作が起こるか分からない病気。
「病気を持っているのに香澄くんと付き合ってていいのかな」
『病気を持ってる、持ってないなんて関係ないと思うよ。それに、俺は瑚々が病気だって知る前から瑚々のこと大好きだったもん』
なんなら、一目惚れだよ?と自信満々に言ってくれる香澄くんが隣にいてくれるのがうれしくて。私は自分から香澄くんにキスをした。
初めて、私からしたことに香澄くんは嬉しかったようで、好き。と言ってくれた。
私も好き。と返していた私たちの姿が周りからお似合いのカップルに見えていたらいいななんて考えるようにまでなった。
好き。と言えることが、抱きしめあえることが、隣にいられることが、
どうか......続きますように。
「「神様、私から彼を奪わないで下さい。」」
病気が治りますように。ということより私は彼と......香澄くんと......愛する人と一緒にいられますように。とお願いし続けていた。
私は、再び激しい痛みに襲われた。
体中が酸素を欲しがっているのに上手く呼吸が出来ない。最悪の状態。
私は一時的に集中治療室に運ばれた。
この病院の集中治療室は血縁のある人ではないとたとえ恋人であっても立ち入りを禁じられる。
集中治療を受ける人の中でも入る人はごく稀という高濃度酸素室に私がいたから。
意識はあった。でも、ただ苦しいという世界でもがく事しかできない。
人は酸素を取りすぎるとダメだからお母さんとも会える時間は少なくて。
思い出したくもない中学1年生のときの孤独感を感じていた。
私はそこに3日間いた。体調が良くなるまで。
3日後に普通のちょっと前までいた病室に戻った。
ただし、いつ、またあの痛み、呼吸困難が襲ってくるか分からないため人工呼吸器をつけて。
学校では、春休みに入っていて香澄くんも毎日会いに来てくれた。
初めて人工呼吸器をつけている姿を見たときは香澄くんでさえ激しく動揺していた。
でも、話すとかなりの体力を使うと伝えると香澄くんはずっと手を握っていてくれた。「聞いているだけでいいから。」と言って色んな話もしてくれた。
私が眠りにつくまで隣にいた香澄くんが帰り際にお母さんと泣いているなんて知る由もないほどに楽しいはなし。
人工呼吸器が取れるまで回復したのは香澄くんと私が受験生になって1ヶ月たった5月の末。
私は、入院している学生のためにある院内学校で勉強をしていた。
肩書きだけの受験生。これから自分がどうなるかなんて分からなくて不安を感じる日々。
肩書きだけでも勉強はする。中学生の勉強は社会の常識ばかりだから一生懸命がんばった。
勉強も、治療も。
香澄くんが会いに来てくれるのは1週間の最後。日曜日。
1日中一緒にいられることが幸せで、平日の治療が少ししんどくなっても頑張ることの意味は香澄くんが会いに来てくれる日曜日に少しでも元気な姿でお迎えしたいから。
院内学校で紗由香ちゃんというお友達もできて、華鈴ちゃんとはテレビ電話で話した。
体調が良くなるにつれて体についていた管みたいなのも外れていく喜び。
点滴をもちながらだけど香澄くんと病院の中庭をお散歩できる喜び。。
こんな私でも、会いにきてくれる度に「大好き」とたくさん言ってくれる香澄くんと付き合っていられる喜び。
生きていられる喜び。
治療の方向を治すことにしていなかったら余命を宣告していたということも元気だから笑い話として担当医から聞ける。
今日は香澄くんが会いに来てくれる日曜日。
『瑚々!』
名前を呼ばれるたびに自分の名前に誇りがもてる。
「おはよう。香澄くん。今日は早かったね。」
まだ午前中の10時をまわったところ。いつもならお昼くらいなのに。
『瑚々に渡したいものがあったから。早く来た』
「え!?なになに?」
『これ......!』
そう言って、手に持っていた袋から取り出したのは20センチくらいの小鉢に入った枯れない素材でできている白い花。
『花には、花言葉って言うものがあるんだ。その中でも俺が瑚々に渡したい花。本物だと、枯れちゃったり香りがきついものもあるから、造花にしてもらった。』
「これにはどんな花言葉があるの?」
『これは、アザレアっていう花で中でも白のアザレアには......
"あなたに愛されて幸せ"とか"永遠の愛"っていう意味がある。』
「え......?」
花言葉を聞いた瞬間涙が出てきた。
『瑚々!?どうしたの!?どこか痛いの?どこが苦しい!?』
目の前で慌てる香澄くんに「違うよ」と言った。
「幸せなの。香澄くんは、こんな私でも大好きって言ってくれるから。」
『瑚々、違うよ。こんな私でも。じゃなくて、こういう瑚々だから好きなんだよ。大好き』
香澄くんはニッコリ微笑んでくれてもう一度大好きといって優しいキスをくれた。
「幸せな涙、初めて流した。」
唇が離れて思った本心をポロッと口に出すと、
『俺も。初めて好きになった人が瑚々で幸せ』
香澄くんと同じ気持ちなだけで嬉しさと幸せって気持ちが体全体で感じられる。
でも、私はいつ発作が起こるか分からない病気。
「病気を持っているのに香澄くんと付き合ってていいのかな」
『病気を持ってる、持ってないなんて関係ないと思うよ。それに、俺は瑚々が病気だって知る前から瑚々のこと大好きだったもん』
なんなら、一目惚れだよ?と自信満々に言ってくれる香澄くんが隣にいてくれるのがうれしくて。私は自分から香澄くんにキスをした。
初めて、私からしたことに香澄くんは嬉しかったようで、好き。と言ってくれた。
私も好き。と返していた私たちの姿が周りからお似合いのカップルに見えていたらいいななんて考えるようにまでなった。
好き。と言えることが、抱きしめあえることが、隣にいられることが、
どうか......続きますように。
「「神様、私から彼を奪わないで下さい。」」
病気が治りますように。ということより私は彼と......香澄くんと......愛する人と一緒にいられますように。とお願いし続けていた。
