『瑚々、良かったね。』
新川くんが夏月先生と出かけているときに香澄くんが笑って言ってくれた。
「うん。会えて良かった。」
『瑚々、浮気しないでね?』
「え、?浮気?」
『だって、東條先生と話してる瑚々、すごく楽しそうで笑顔だったから。』
まただ。少しふて腐れた香澄くんが、とんでもなく可愛いと思えてしまう。
「もう、香澄くんしかいないよ。」
『瑚々......。』
楽しいとか嬉しいとか辛い、悲しい、なんでも、どんな感情も香澄くんと感じていきたい。
大好きだから、どんなことも共有しあえる存在になりたい。
ずっと、ずっと、香澄くんのことを好きでいて隣にいたい。
『瑚々、キスしていい?』
「えっ?」
『ダメ?今、誰もいないし、もうすぐ俺帰らなきゃいけない時間だから。』
「っつ。い......いいよ。」
いいよ。って言うのめちゃくちゃ恥ずかしかったけど......。
やった。と喜ぶこの香澄くんの顔を見られるのはクラスの誰でもない彼女の私の特権。
香澄くんにベットに寝かされ受け入れる準備をする。
「香澄くん、」
『ん?』
「大好き」
素直に気持ちを伝えただけなのに香澄くんは、『もう無理』と言ってキスを落としてきた。
キスをしていて、いつもと同じくらいの長さなのに少しだけ、息を吸ったときに違和感を覚えたのは、私も気づくことができなかった。
『病気が悪化しているようで......。症状が重くなっています。』
苦しくて、上手く呼吸が出来ない。その時熱はなかった。
それでも治らずいつもはしないような検査までした結果。
聞かされたことにクエスチョンしか出てこなくて、自分が分からなくなったのは
周りの子が新しい学年への準備をしている3学期の真ん中あたり。
この病気が悪化していくことを初めて知った日だった。
ベットから起き上がる朝、なにかからだの中でひゅっという感覚をおぼえたけど
何も起こらなかった。 その時は。
着替えて、学校に行くはずだったのに。
最近調子が良くて薬の量も減り始めていて、走り込みをする体育の授業にも自分の意思で参加したいと思えるようになっていた。けど、階段を目の前にした途端、あり得ないくらいに息が吸えなくなった。
人はこんな状況のとき絶対に歩けない。呼吸をしてこの世の生き物は生きているから。
だから当然、私も歩くことが出来ず無意識に階段から体を遠ざけ意識を失い倒れた。
目をあけたのは、もちろん病院のベット。
でも、このとき私は初めて自分がなぜここにいるのか忘れていた。
「お母さん......?」
「瑚々!?」
目の前の人をふいに呼んでいた。
お母さんからは涙が零れていて、私も何故ここに自分がいるのか分からずに泣いた。
「お母さ......ん、あの、何が起こったの?」
「発作が、起こったのよ。覚えてないの?朝、家の階段で」
私はその時、うん。とは言わず、まるで知っていることを聞いたように答えた。
記憶までもが病魔によって侵食とともになくなることを信じたくなくて。
きっと、今回はたまたまで、これは病気の症状じゃないと信じていたくて。
頭痛を和らげる薬が効いてきたその日の夕方、それにあわせてわたしは体を起こしていてもしゃべれるようになった。
『瑚々っっっ!!!!』
「香澄くん。」
病院と忘れて部屋まで聞こえる焦って走ってくる音とともに大好きな人が会いに来てくれた。
額からは、汗が零れていた。
お母さんは香澄くんに冷たい飲み物を買いに行ってくれて私は香澄くんの「良かった。」という言葉のこもった優しいキスを、ただひたすら愛しい気持ちで受け止めた。
『瑚々、具合は?』
香澄くんが満足するまで続いたキスは意外と早く終わった。
それはきっと、朝に呼吸困難を起こしたと聞いたからだろう。
私も、聞くまではなんでこの場所に自分がいるのか全く分からなかった。
呼吸困難なんて相当重病ってことだよね。
「大丈夫。薬が効いてきたみたい。」
まだ、これは私の見解だから。確定してないことを言ったことによって目の前で安心している大好きな人を不安にさせたくない。
目の前で悲しげな顔をしながらも、ここに来たときよりは安心している香澄くんの目には涙が零れ落ちるくらい溜まっていて「私は大丈夫」と言って背中をさすらなければ香澄くんは涙を流してはいなかった。
新川くんが夏月先生と出かけているときに香澄くんが笑って言ってくれた。
「うん。会えて良かった。」
『瑚々、浮気しないでね?』
「え、?浮気?」
『だって、東條先生と話してる瑚々、すごく楽しそうで笑顔だったから。』
まただ。少しふて腐れた香澄くんが、とんでもなく可愛いと思えてしまう。
「もう、香澄くんしかいないよ。」
『瑚々......。』
楽しいとか嬉しいとか辛い、悲しい、なんでも、どんな感情も香澄くんと感じていきたい。
大好きだから、どんなことも共有しあえる存在になりたい。
ずっと、ずっと、香澄くんのことを好きでいて隣にいたい。
『瑚々、キスしていい?』
「えっ?」
『ダメ?今、誰もいないし、もうすぐ俺帰らなきゃいけない時間だから。』
「っつ。い......いいよ。」
いいよ。って言うのめちゃくちゃ恥ずかしかったけど......。
やった。と喜ぶこの香澄くんの顔を見られるのはクラスの誰でもない彼女の私の特権。
香澄くんにベットに寝かされ受け入れる準備をする。
「香澄くん、」
『ん?』
「大好き」
素直に気持ちを伝えただけなのに香澄くんは、『もう無理』と言ってキスを落としてきた。
キスをしていて、いつもと同じくらいの長さなのに少しだけ、息を吸ったときに違和感を覚えたのは、私も気づくことができなかった。
『病気が悪化しているようで......。症状が重くなっています。』
苦しくて、上手く呼吸が出来ない。その時熱はなかった。
それでも治らずいつもはしないような検査までした結果。
聞かされたことにクエスチョンしか出てこなくて、自分が分からなくなったのは
周りの子が新しい学年への準備をしている3学期の真ん中あたり。
この病気が悪化していくことを初めて知った日だった。
ベットから起き上がる朝、なにかからだの中でひゅっという感覚をおぼえたけど
何も起こらなかった。 その時は。
着替えて、学校に行くはずだったのに。
最近調子が良くて薬の量も減り始めていて、走り込みをする体育の授業にも自分の意思で参加したいと思えるようになっていた。けど、階段を目の前にした途端、あり得ないくらいに息が吸えなくなった。
人はこんな状況のとき絶対に歩けない。呼吸をしてこの世の生き物は生きているから。
だから当然、私も歩くことが出来ず無意識に階段から体を遠ざけ意識を失い倒れた。
目をあけたのは、もちろん病院のベット。
でも、このとき私は初めて自分がなぜここにいるのか忘れていた。
「お母さん......?」
「瑚々!?」
目の前の人をふいに呼んでいた。
お母さんからは涙が零れていて、私も何故ここに自分がいるのか分からずに泣いた。
「お母さ......ん、あの、何が起こったの?」
「発作が、起こったのよ。覚えてないの?朝、家の階段で」
私はその時、うん。とは言わず、まるで知っていることを聞いたように答えた。
記憶までもが病魔によって侵食とともになくなることを信じたくなくて。
きっと、今回はたまたまで、これは病気の症状じゃないと信じていたくて。
頭痛を和らげる薬が効いてきたその日の夕方、それにあわせてわたしは体を起こしていてもしゃべれるようになった。
『瑚々っっっ!!!!』
「香澄くん。」
病院と忘れて部屋まで聞こえる焦って走ってくる音とともに大好きな人が会いに来てくれた。
額からは、汗が零れていた。
お母さんは香澄くんに冷たい飲み物を買いに行ってくれて私は香澄くんの「良かった。」という言葉のこもった優しいキスを、ただひたすら愛しい気持ちで受け止めた。
『瑚々、具合は?』
香澄くんが満足するまで続いたキスは意外と早く終わった。
それはきっと、朝に呼吸困難を起こしたと聞いたからだろう。
私も、聞くまではなんでこの場所に自分がいるのか全く分からなかった。
呼吸困難なんて相当重病ってことだよね。
「大丈夫。薬が効いてきたみたい。」
まだ、これは私の見解だから。確定してないことを言ったことによって目の前で安心している大好きな人を不安にさせたくない。
目の前で悲しげな顔をしながらも、ここに来たときよりは安心している香澄くんの目には涙が零れ落ちるくらい溜まっていて「私は大丈夫」と言って背中をさすらなければ香澄くんは涙を流してはいなかった。
