「......ねぇ、大切って何?」

自分から冷たくしていた人をこれ以上相手を困らせてはいけないって分かっているのに。

こんな哲学みたいなこと聞いてもきっと分からないって返ってくるって分かっているのに。

咄嗟に聞いていた。

『大切......ね。これから言うのはあくまで俺個人の意見だけど、必ずなくちゃいけないもの......じゃなくて、あることで生きることが楽しかったり心の支えになるものやそういう人、感情を 大切って言うんだと俺は思う。』

驚いた。こんなことにすぐ答えられるなんて......。

開いた口が塞がらない。とは、まさしく今の私の状況を言うんだと思う。

『だからさ、君が......俺は、瑚々ちゃんが好き。大好き。俺と一緒に初めての恋愛経験してみない?』

まっすぐに思いを伝えてくれたのは2回目だな......。

図書室で告白してくれたとき、ホントは嬉しかった。

私も、皆と同じように恋とかしてもいいのかもって思えたから。

病気のせいで、家族関係が変化して両親が過保護になって、たくさん一緒にいてくれるから孤独なはずがないのに......、孤独だった。

誰も、私に楽しいことを教えてはくれなかったから。

でも、今の告白は前とは違う。

そして、前の私とも違う。

「............った。」

『え?』

「香澄くんにファーストキス奪われて一瞬でもときめいちゃった。だから、い、いえす......で。」

『ホントに?本気で言ってるの?』

さっきとはまた別の焦ってる顔・・・。なんか少し可愛く見えてきた。

「......ウソって言ったらどうなる?」

『泣くっ!』

「ぷっ!あはは......www」

『あ......っつ。笑わないで.....( ・᷄-・᷅ )』

うわぁ......。なにその顔。......めちゃくちゃ可愛い。

ほっぺた膨らませて、不満そうにこっち見てくるの勘弁して欲しい。

『あのさ、もう一回聞いていい?』

「なにを......?」

「......wwwなにをってwww鈍感な瑚々ちゃんも好き。どんな瑚々ちゃんでも好きだよ。大好き。

だから、......俺と付き合ってください」

図書室で告白されたときとは違う希望に満ち溢れたような笑顔で、でも、目には涙を浮かべていて。それは、私の大好きな笑顔だった。香澄くんは本気で言ってるってことが見ただけで分かる。

でも、何回好きって言われても心がないと申し訳ないと思っていた気持ちは私の中にはもうすっかりなくて、毎回毎回、違う言葉で、違う顔で、言われた後に違う気持ちを感じさせてくれる香澄くんの好きは私の心にしっかりきれいなメロディーを奏でていた。

もう、香澄くんに......。自分の気持ちに蓋をしなくていいこと。きちんと分かった。

だから、今、私があなたに伝える言葉、ちゃんと分かる。

「どんなわたしでも受け止めて好きって言ってくれる香澄くんのこと大好きで大好きで仕方ないくらい大好き。」

泣いた後だから、目の周りとか真っ赤だろうけど精一杯の笑顔で

「香澄くん、私と、付き合ってください」

『喜んで!!』

ベットの上でで向き合っていた私達は、その拍子にお互いが望んでギュッとハグをしたあと、さっきの不意打ちキスより短いけど、お互いがお互いを愛した気持ちが込もっているキスをした。