ひとしきり笑ったあと、「そろそろお邪魔しよーか」と彼女達は席を立った。

「そーだ、麗奈ちゃん」

去り際、愛薗さんが私を振り返る。

「うち、麗奈ちゃん応援してるから!もう結構な女子が告白してるけど、一人もオッケー出てないんだよね。でも麗奈ちゃんならいけるかもしれないし。
接点強いのってやっぱ麗奈ちゃんだからねー。頑張ってね!」

そう言って、にかっと笑った愛薗さんは他の友達の元へ去っていった。

「……嵐のように去っていったね」

そう、気圧されたように杏里が言う。

いつも元気なのが私のアイデンティティだ! と豪語していた彼女の珍しい姿に反応する余裕も無かった。

高坂についての新しい情報が頭の中をグルグル回り、混乱していた。

あと、

「応援してる、って」

ポツリと私が呟くと、「言ってたね~」と杏里が返す。

「ま、彼女の言ってたように、接点強いのは麗奈なんじゃない? めげずに頑張りなよ」

「……分かった。ありがと」

「ん、そーよ。頑張って私と森下くんみたいなラブラブバカップルを目指しなっ!」

「自分で言うんだ……」

……そこから杏里の惚気が授業チャイムまで続いたとか、続かなかったとか。