Bittersweet chocolate

「彼が帰ってくるまで、ここに座って好きなことしていてくれたらいいわ」

先生はそう言ってくれたけど、私は何もする気が起きなかった。

ぼんやりと座り、彼が帰ってくるまでに気持ちの整理をつけなきゃな、とそんな風に思っていた。

それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。

「……高坂くん、遅いわね。どうしたのかしら」

ふと、そう呟いた小林先生の声に、意識が急速に現実に戻っていく。

「麗奈ちゃん、何か聞いてる?」

「いえ、知らないです」

「そうよねぇ……」

私の答えに、考え込んでしまった先生。

暫く考え込んだ先生は、私の方を向いてこう言った。

「ごめんなさい、麗奈ちゃん。高坂くんを探してきてくれないかしら」

そのお願いに、体がビク、と強張る。

「ちょっとしたら戻るって言ってたのよ。でも、戻ってきていないし……。心配なの。良かったら、探してきてほしい」

真摯に、私にお願いする小林先生。

それを無碍にするわけにもいかず、最終的には私は頷いていた。