「ふふふ」

「なんか、余裕のある笑みって感じですね」

「あら、気を悪くしたらごめんなさい。照れてる高坂くんを見てたら、なんだか私の学生の頃を思い出しちゃって」

高坂と小林先生の話が続いていた気がしたが、私は聞こえていなかった。

耳鳴りがする。

肺が苦しい。息が詰まる。

手足の感覚が、遠い。

どうして、その言葉だけが頭をグルグルと回る。

いや……、なんとなく分かっていた。

――彼には好きな人がいるのではないかと。

朝の愛薗さん達の言葉が、頭をよぎる

ただ、確信を得る情報が無かっただけだ。

ただ……、そうじゃなければいいと。


そう、思っていただけだ。