「なに~他の人には変態だと知られたくないの~?」

「俺は構いませんが、彩響さんのこんな姿外に見せられないでしょう」

「何言ってんの、全く気にしないくせに」

「気にします!…その、大事なクライアント様ですので」

「本当に?」

「本当です」


真剣な顔に、とにかく勝利した気分になり、彩響は又へらへらと笑った。そしてそのまま寛一さんの胸に抱きつく。驚いた寛一さんがそのまま後ろ倒れ、二人は座った姿勢から突然一緒に横になってしまった。彩響が寛一さんの胸をぎゅっと抱いて顔をうずめた。


「さ、彩響さん…?」

「へへへ…気持ちいい!最高!この変態野郎!」

「お願いします、そう呼ぶのやめてください…」


お酒の酔いと気持ちいい感触で、自然と眠気が襲ってきた。彩響は目を閉じ、相手のシャツをなでる。さすが洗濯に命かけるだけあって、程よい洗剤のいい香りがした。

(いつぶりだろう、こんな感触…)

「なんか、眠くなってきた…」

「え?このまま寝ないでくだ…さい…?」

「…」

「彩響さん…?お願い、起きてください…」


耳元で自分を呼ぶ声が聞こえたが、世界一重い瞼を持ち上げる力はもう残ってなかった。彩響はそのまま眠りに落ちてしまった。


「……」

そして、一人残された家政夫さんは天井を見上げ、一人でつぶやいた。


「仕事やめたい…」