オスの家政夫、拾いました。1. 洗濯の変態編

彩響のお願いに寛一さんはとても困った顔をして、お茶を一口飲んで、何から話せばいいのか全く分からない…と一言つぶやいて…そしてやっと話を始めた。

「俺は昔から人と話すのが苦手で…父の影響もあり、洋服で遊ぶのが好きでした」

「お父さんがなにか洋服に関係ある仕事をやっていたのですか?」

「クリーニング屋です。お直しもしていたので、父のお店でミシンをいじって遊ぶのが好きでした。人形の洋服作ったり、小さいカバン作ったりして、それで父に褒められるのが好きでした」
彩響の家に初めて来た日、彼が持っていた古いミシンを思い出す。単純に家政夫の仕事で使っていると思ったら、幼い頃から使っていたものらしい。幼い寛一さんが小さい手でミシンを弄る姿を想像すると、自然と笑いが口元から漏れた。

「お人形さんの洋服作れたら、女の子にモテました?」

「そうですね、汚くなったお人形とか、破れた服とか、そういうのは父の店で治すことができたので。…でも男の子達は違いました」



――「『せんたく』?『てぬぐい』?『みしん』?それじょしのしごとだろ!なんでやるの?」

――「こいついえにかあちゃんいないんだよ。だからかあちゃんのかわりにやってんだよ」

――「かわいそうに、おまえかあちゃんにあいたくてそれやってんの?そんなことしたってかあちゃんもどってこねーよ。だってうちのおやじがいったんだもん!こどもすてておとこつくったおんなはぜったいもどってこないんだって」