「沙奈。ありがとう。
それから、恩返しならもうたくさんしてもらったよ。」
「えっ?」
驚いたように、沙奈の目は丸くなっている。
こんなに可愛い沙奈の家族になれたこと。
たくさんの笑顔や涙を、俺達に向けてくれたこと。
それに何より、俺達を信じて一緒に生きる道を選んでくれたこと。
沙奈と出会って、俺や翔太の人生は色づいて行ったんだ。
こんなに可愛い天使が、俺達の元に舞い降りてくれた奇跡に感謝してもしきれない。
「沙奈。
俺や、翔太は沙奈が俺達の妹になってくれた事が何よりも1番嬉しい。
何にも変えられない、沙奈にしか出来ない恩返しなんだよ。
俺は、沙奈だったから助けたんだ。
あの時、助けたいと心の底から思ったんだ。
沙奈はもう、出会った時から俺達の大切な妹なんだよ。」
「紫苑…」
「大翔。
大翔が、沙奈を大切に思う気持ちは今まで大翔を見てきたから分かる。
沙奈と出会って、大翔はずっと沙奈のことを優先的に考えてくれていた。
俺は、そんな大翔を信じる。
沙奈を、幸せにできるのはこの先ずっと大翔しかいないと思うんだ。
大翔。
沙奈は、決して簡単な子じゃない。
病気も抱えてるし、心の傷もまだ癒えていない部分もある。
それを含めて、大翔の愛する沙奈だと思うんだ。
だから、この先沙奈を裏切るような事はしないでほしい。
もし、そんなことがあったら親友だとしても許さない。」
思い合う2人を、ずっと近くで見てきた。
この先何十年経ったとしても、大翔は変わらず沙奈を守ってくれると信じている。
沙奈の全てを、少しずつ大翔へ託していってもいいと思っている。
「俺は、沙奈のことを裏切らない。
この先もずっと。
言葉だけじゃなく、行動としても沙奈や2人に示していくつもりだから。
それは、これから先俺の行動を見て紫苑や翔太に見極めてもらいたい。」
大翔はいつも、自分が行動にできることしか言葉にはしない。
できること、できないこと。
はっきりしている大翔は、今まで責任の無い言葉を口に出すことなんて1度もなかった。
人一倍、心配性な俺がこんなにも沙奈を託せるのはずっとそんな大翔を見てきたからだと思う。
それから。
沙奈もそう。
沙奈も、自分を守るために沙奈と関わろうとする人間を見極めてきた。
沙奈も沙奈で、人の気持ちに敏感で信用できる人とできない人の区別ははっきりとできている。
今まで、育ってきた環境が沙奈をそう育てたんだと思う。
沙奈は、いい人を選んだんだな。
「沙奈。」
「えっ?」
「この先、ずっと大翔のこと信じても大丈夫だよ。
沙奈自身も、分かってると思うけど。
もし、大翔の気持ちが分からなくなったり自暴自棄になったりしたらいつでも帰っておいで。
何も無くても、時々俺たちの元へ帰ってきてほしい。
完全に腹を括って、沙奈を手放すことはまだできないから。」
この先もずっと。
沙奈の成長を見ていきたい。
沙奈は、俺達にとって大切なたった1人の妹だから。


