ーside 紫苑ー
日が沈むのが早くなり、季節は冬を迎えていた。
12月、雪が降る季節はやっぱり肌を突き刺すように寒いな。
冬になると、沙奈の体温はより一層下がるから心配にはなるけど、沙奈は今元気に過ごしている。
沙奈が退院してからは、より一層勉強に力を入れていた。
それから。
沙奈と大翔から、大切な話があると言われ俺は朝から落ち着いてはいられずそわそわしていた。
「沙奈。大切な話って何なんだ?」
「…大翔先生とのことで話があるから。大翔先生が来てからでもいい?」
さっきから、このやり取りの繰り返し。
沙奈は、頑なに話そうとはしてくれない。
沙奈のタイミングを待って話を聞くことがベストなんだろうけど。
だけど、どうしてもよそよそしい沙奈の様子にも気になって仕方がない。
よっぽど、大事な話であることは沙奈の表情から読み取れるけど…。
「まあ、1回落ち着こうよ。」
そわそわしている俺に、翔太はお茶を入れた。
約束の時間になるまで、時間の流れがやけに長く感じ、秒針を刻む音もやけにうるさく聞こえる。
深呼吸しても、落ち着かないこの気持ちに家事も手につかない。
そわそわしているうちに、チャイムが鳴った。
その音と一緒に、俺の緊張感が一気に高まる。
「大翔、入って。」
「お邪魔します。」
大翔は、いつも以上に身なりに気をつけている様子が見られる。
「紫苑、翔太。
沙奈のことで、大切な話があるんだ。
来てそうそう申し訳ないけど、今話をしてもいいかな。」
気を引きしめるかのように、大翔はネクタイを締め直した。
「ああ。」
「実は、高校卒業したら沙奈と同居したいって考えている。」
「えっ?」
「大翔先輩、だけど沙奈はこれから大学に進学して最低でも6年間は学生の身になります。
沙奈が学生の内は、俺たちが沙奈の生活を支えていく責任があります…。」
「まだ、学生であってきっと学費のことは紫苑や翔太に負担がかかる。
だけど、少しでも俺に出来ることがあるなら俺も医者になろうとする沙奈のことを支えていきたい。
だから、2人で一緒に暮らすことを紫苑と翔太に認めてほしくて時間を作ってもらった。
決して、軽い気持ちで考えたりはしていない。
2人の、たった1人の大切な妹を俺に託してほしい。
」
「沙奈は、どうなんだ?
沙奈の気持ち、ちゃんと教えて。」
「私も。
高校卒業しても、まだ未熟だし大人になんて完全になれるわけない。
もしかしたら、たくさん大翔先生に迷惑をかけちゃうかもしれない。
学費のことだって、紫苑や翔太にたくさん負担をかけちゃう。
それに、今まで3人の傍にいて私は1人でどうにかできることなんてひとつもなかった。
いつも紫苑や翔太、大翔先生が手を差し伸べてくれた。
1人だと、何も出来ない私だけど大翔先生の傍にいたいの。
勝手なこと言ってるのは分かってる。
2人に、恩返しも出来ないままここを出ていくなんて勝手だって分かってる。
だけど私…。
自分の気持ちに、嘘はつきたくないよ。
大翔先生と、一緒に生きていきたい。」
「沙奈…。」
俺から視線を外さずに、まっすぐ見つめながら沙奈はそう話してくれた。
自分の気持ちを、ここまではっきり話してくれたことは1度もなかった。
沙奈も、少しずつ変わろうとしている。
幸せになるために、歩み始める沙奈のことを引き止める権利は俺にはない。
ただ、沙奈に幸せになってもらえるなら何だってする覚悟だったんだから。
沙奈を引き取った時から、その気持ちは1ミリ足りとも変わっていない。
日が沈むのが早くなり、季節は冬を迎えていた。
12月、雪が降る季節はやっぱり肌を突き刺すように寒いな。
冬になると、沙奈の体温はより一層下がるから心配にはなるけど、沙奈は今元気に過ごしている。
沙奈が退院してからは、より一層勉強に力を入れていた。
それから。
沙奈と大翔から、大切な話があると言われ俺は朝から落ち着いてはいられずそわそわしていた。
「沙奈。大切な話って何なんだ?」
「…大翔先生とのことで話があるから。大翔先生が来てからでもいい?」
さっきから、このやり取りの繰り返し。
沙奈は、頑なに話そうとはしてくれない。
沙奈のタイミングを待って話を聞くことがベストなんだろうけど。
だけど、どうしてもよそよそしい沙奈の様子にも気になって仕方がない。
よっぽど、大事な話であることは沙奈の表情から読み取れるけど…。
「まあ、1回落ち着こうよ。」
そわそわしている俺に、翔太はお茶を入れた。
約束の時間になるまで、時間の流れがやけに長く感じ、秒針を刻む音もやけにうるさく聞こえる。
深呼吸しても、落ち着かないこの気持ちに家事も手につかない。
そわそわしているうちに、チャイムが鳴った。
その音と一緒に、俺の緊張感が一気に高まる。
「大翔、入って。」
「お邪魔します。」
大翔は、いつも以上に身なりに気をつけている様子が見られる。
「紫苑、翔太。
沙奈のことで、大切な話があるんだ。
来てそうそう申し訳ないけど、今話をしてもいいかな。」
気を引きしめるかのように、大翔はネクタイを締め直した。
「ああ。」
「実は、高校卒業したら沙奈と同居したいって考えている。」
「えっ?」
「大翔先輩、だけど沙奈はこれから大学に進学して最低でも6年間は学生の身になります。
沙奈が学生の内は、俺たちが沙奈の生活を支えていく責任があります…。」
「まだ、学生であってきっと学費のことは紫苑や翔太に負担がかかる。
だけど、少しでも俺に出来ることがあるなら俺も医者になろうとする沙奈のことを支えていきたい。
だから、2人で一緒に暮らすことを紫苑と翔太に認めてほしくて時間を作ってもらった。
決して、軽い気持ちで考えたりはしていない。
2人の、たった1人の大切な妹を俺に託してほしい。
」
「沙奈は、どうなんだ?
沙奈の気持ち、ちゃんと教えて。」
「私も。
高校卒業しても、まだ未熟だし大人になんて完全になれるわけない。
もしかしたら、たくさん大翔先生に迷惑をかけちゃうかもしれない。
学費のことだって、紫苑や翔太にたくさん負担をかけちゃう。
それに、今まで3人の傍にいて私は1人でどうにかできることなんてひとつもなかった。
いつも紫苑や翔太、大翔先生が手を差し伸べてくれた。
1人だと、何も出来ない私だけど大翔先生の傍にいたいの。
勝手なこと言ってるのは分かってる。
2人に、恩返しも出来ないままここを出ていくなんて勝手だって分かってる。
だけど私…。
自分の気持ちに、嘘はつきたくないよ。
大翔先生と、一緒に生きていきたい。」
「沙奈…。」
俺から視線を外さずに、まっすぐ見つめながら沙奈はそう話してくれた。
自分の気持ちを、ここまではっきり話してくれたことは1度もなかった。
沙奈も、少しずつ変わろうとしている。
幸せになるために、歩み始める沙奈のことを引き止める権利は俺にはない。
ただ、沙奈に幸せになってもらえるなら何だってする覚悟だったんだから。
沙奈を引き取った時から、その気持ちは1ミリ足りとも変わっていない。


