ペースメーカーを植え込む治療は、思いのほか早めに終えることができた。
「安定、しているみたいだな。」
治療に疲れ、深い眠りから覚めると辺りは夕方の空へ変わっていた。
ここは、夕陽の光が綺麗に差し込む。
点滴を調整しながら、冨山さんが私に声を掛けていた。
「冨山さん…。」
「身体の具合はどうだ?」
「うん…。まだ、少し身体がだるいけど大分楽になった気がする。」
「そうか。まだ、無理に動いたりするなよ。」
「ありがとう、冨山さん。」
冨山さんは、優しい眼差しを私に向け近くにあった椅子へ腰を下ろした。
「冨山さん、仕事はもう終わったの?」
「ああ。今日は、早めに終わったんだ。
七瀬先生から、もし時間が大丈夫なら沙奈のそばにいて欲しいと言われたから来た。」
「そうなの?
だけど、私は大丈夫だよ?」
冨山さんはもう、仕事が終わったわけで私の所にいると残業しているのと同じだよね…。
「俺も、今は沙奈のそばにいたいから。
それに、沙奈。
大翔先生や七瀬先生達が来るまで、1人でいたくはないだろう?
滅多に沙奈は、ナースコールも押さないからいつも皆お前のこと心配してる。
身内として、今は沙奈のそばに居させてくれ。」
「…ありがとう、冨山さん。」
「ああ。」
冨山さんは、必要最低限なことしか話はしないけど。
この、沈黙な時間が心地よかったりする。
優しい眼差しを向け、微笑みながら話を聞いてくれるから。
「冨山さん、私学校に戻ったらちゃんと勉強着いていけるかな?」
「…心配か?」
「ずっと、出席日数がギリギリか足りなくて夏休みに補習を受けていたりしてた。
紫苑や翔太には話せなかったけど、本当は補習も精神的に辛かったの。
遅れてる私にとっては、復習も予習もかなり頑張らないと補習の授業でさえ着いていくのに必死だった。
入院期間が長かったから、今までの遅れた分を取り戻すことも、受験にも間に合うのかも分からない。」
医者になるために勉強を始められたのも、皆よりもだいぶ遅かった。
思うように、勉強も進まなくて医者を諦めた方がいいのかもしれないとずっと考えていた。
それに、今は自分が医者を目指していいのかも分からない。
入退院を繰り返すような私が、医者に向いているのかも分からない。


