ーside 大翔ー
大切な人の命を助けること。
今の医学の力では、移植以外の完治をする方法はない。
どれだけ医学に時間を費やしても、いつだって病気は予期せぬ事が多く起こる。
見落としがないようにと、検査を念入りに行っていたとしても、次の診察の時には何かが起こってもおかしくないこの病気。
移植以外、完治が見込めない病気。
そんなことはわかっていた…。
それでも…。
俺の手で、沙奈の病気を治したい。
心では強く思っていても、現実ではその願いを叶えることができない現状。
そんな現実に、気づいたら俺は沙奈に弱音を吐いてしまっていた。
1番辛いのは沙奈なのに。
泣きたいのは、沙奈なはずなのに。
「大翔先生…。
止めて…。
そんなにたくさん、謝らないで。
ごめんね、大翔先生。
たくさん、大翔先生のこと辛い思いさせちゃって。
私の病気のことで、たくさん苦しめちゃって。」
そう言いながらも、沙奈は涙をたくさん瞳に溜め込んでいる。
「沙奈…。沙奈が謝ることないんだ…。」
沙奈へ、そう言い聞かせることに精一杯になっていることに気づき、少しでも沙奈が安心できるように抱きしめていた。
「でもね、大翔先生。」
「あぁ。」
「私ね…。
大翔先生に、たくさん救われてきたんだよ。
何度も何度も、この大切な命を救ってもらったんだよ。
大翔先生、私の心臓に手を当ててみて。」
沙奈は、身体を離してから俺の手を握り、自分の胸へ当てていた。
握られた沙奈の優しい温もりにも、手で伝わる沙奈の心臓の鼓動にもたまらなく愛おしい気持ちが込み上げてくる。
病気を抱えながら、今を生きてくれている。
「あぁ…。温かいな。沙奈の心臓は…。」
「病気が進んじゃったけど、今もここで生きてる。
生きることができてる。
ゆっくりでも、この心臓はちゃんと動いてる。
それは、大翔先生がたくさん私を助けてくれたからだよ。
だから、泣かないで。
自分を、責めたりしないで。
私必ず元気になるから、これからもずっと大翔先生のそばにいさせて。」
震える声で、沙奈はそう話してくれた。
「沙奈…。ありがとう。
弱気になってごめんな。
それに、沙奈。
これからも、俺のそばにいてくれ。
お願いしなくても、俺は沙奈にそばにいてほしい。
これからも、沙奈のことたくさん助けるから。
沙奈の命は、俺の手で守るからな。」
そうだ。
移植以外の道がないわけではない。
今は、これ以上病気を進行させない為にもペースメーカーの治療を行っていく必要がある。
救いようのない病気ではないんだ。
17歳の沙奈が、今この大きな病気と闘ってくれているんだから。
これからも、この手で沙奈を救っていく。
「沙奈、ありがとう。」
「大翔先生も、私に病気の治療のこと話してくれてありがとう。
それから、たくさん私のことを想っていてくれてありがとう。」
「大翔、ありがとうな。」
「大翔先輩、沙奈のことよろしくお願いします。」
「ああ。紫苑と翔太も、俺を信じて沙奈のこと託してくれてありがとう。」
「大翔先生…。」
「ん?」
「今日は、当直?」
「今日は、外来の日だから当直じゃないよ。」
「そっか…」
そう言い、沙奈は俯きながら口をもごもごさせていた。
何か、お願いをしたい時に沙奈はこうやって何か言いたそうに口をもごもごさせる癖がある。
この仕草は、胸が締め付けられるくらいにたまらなく可愛い。
言葉では、病気と向き合うと言ってはいてもまだ不安な気持ちはあるよな。
そばに、いてほしいのかもしれない。
夜が怖いと話していたからな。
「沙奈。今日の夜も沙奈の病室に泊まるから安心して。
沙奈から、お願いされなくても沙奈が入院している時は沙奈の病室に泊まろうと思うんだ。」
「…本当?」
「ああ。」
「ありがとう、大翔先生。」
安心したかのように、沙奈は俺の胸へ頭をあずけ背中へ手を回してくれた。
そんな沙奈にこたえるように、俺も沙奈を抱きしめていた。
大切な人の命を助けること。
今の医学の力では、移植以外の完治をする方法はない。
どれだけ医学に時間を費やしても、いつだって病気は予期せぬ事が多く起こる。
見落としがないようにと、検査を念入りに行っていたとしても、次の診察の時には何かが起こってもおかしくないこの病気。
移植以外、完治が見込めない病気。
そんなことはわかっていた…。
それでも…。
俺の手で、沙奈の病気を治したい。
心では強く思っていても、現実ではその願いを叶えることができない現状。
そんな現実に、気づいたら俺は沙奈に弱音を吐いてしまっていた。
1番辛いのは沙奈なのに。
泣きたいのは、沙奈なはずなのに。
「大翔先生…。
止めて…。
そんなにたくさん、謝らないで。
ごめんね、大翔先生。
たくさん、大翔先生のこと辛い思いさせちゃって。
私の病気のことで、たくさん苦しめちゃって。」
そう言いながらも、沙奈は涙をたくさん瞳に溜め込んでいる。
「沙奈…。沙奈が謝ることないんだ…。」
沙奈へ、そう言い聞かせることに精一杯になっていることに気づき、少しでも沙奈が安心できるように抱きしめていた。
「でもね、大翔先生。」
「あぁ。」
「私ね…。
大翔先生に、たくさん救われてきたんだよ。
何度も何度も、この大切な命を救ってもらったんだよ。
大翔先生、私の心臓に手を当ててみて。」
沙奈は、身体を離してから俺の手を握り、自分の胸へ当てていた。
握られた沙奈の優しい温もりにも、手で伝わる沙奈の心臓の鼓動にもたまらなく愛おしい気持ちが込み上げてくる。
病気を抱えながら、今を生きてくれている。
「あぁ…。温かいな。沙奈の心臓は…。」
「病気が進んじゃったけど、今もここで生きてる。
生きることができてる。
ゆっくりでも、この心臓はちゃんと動いてる。
それは、大翔先生がたくさん私を助けてくれたからだよ。
だから、泣かないで。
自分を、責めたりしないで。
私必ず元気になるから、これからもずっと大翔先生のそばにいさせて。」
震える声で、沙奈はそう話してくれた。
「沙奈…。ありがとう。
弱気になってごめんな。
それに、沙奈。
これからも、俺のそばにいてくれ。
お願いしなくても、俺は沙奈にそばにいてほしい。
これからも、沙奈のことたくさん助けるから。
沙奈の命は、俺の手で守るからな。」
そうだ。
移植以外の道がないわけではない。
今は、これ以上病気を進行させない為にもペースメーカーの治療を行っていく必要がある。
救いようのない病気ではないんだ。
17歳の沙奈が、今この大きな病気と闘ってくれているんだから。
これからも、この手で沙奈を救っていく。
「沙奈、ありがとう。」
「大翔先生も、私に病気の治療のこと話してくれてありがとう。
それから、たくさん私のことを想っていてくれてありがとう。」
「大翔、ありがとうな。」
「大翔先輩、沙奈のことよろしくお願いします。」
「ああ。紫苑と翔太も、俺を信じて沙奈のこと託してくれてありがとう。」
「大翔先生…。」
「ん?」
「今日は、当直?」
「今日は、外来の日だから当直じゃないよ。」
「そっか…」
そう言い、沙奈は俯きながら口をもごもごさせていた。
何か、お願いをしたい時に沙奈はこうやって何か言いたそうに口をもごもごさせる癖がある。
この仕草は、胸が締め付けられるくらいにたまらなく可愛い。
言葉では、病気と向き合うと言ってはいてもまだ不安な気持ちはあるよな。
そばに、いてほしいのかもしれない。
夜が怖いと話していたからな。
「沙奈。今日の夜も沙奈の病室に泊まるから安心して。
沙奈から、お願いされなくても沙奈が入院している時は沙奈の病室に泊まろうと思うんだ。」
「…本当?」
「ああ。」
「ありがとう、大翔先生。」
安心したかのように、沙奈は俺の胸へ頭をあずけ背中へ手を回してくれた。
そんな沙奈にこたえるように、俺も沙奈を抱きしめていた。


