ーside 紫苑ー
優しく微笑む沙奈の笑顔に、心から安心した。
心の中でたくさんの葛藤を乗り越え、前を向いて治療に積極的に取り組もうとしている。
沙奈の言葉と一緒に、沙奈の覚悟が垣間見えた気がした。
沙奈なりにたくさん考え、決意を決めてくれたんだろう。
1歩ずつ、確実に沙奈は大人の階段を登り始めている。
病気に対しての覚悟も、これから生きることに対しても前向きになってくれている。
そんな沙奈の成長が、たまらなく嬉しい。
出会ったばかりの頃は、生きる気力を無くしていたから。
その頃の沙奈を知っていた俺と翔太は、沙奈を抱き寄せて目を合わせ微笑んでいた。
「さあ、沙奈。大翔が下で待ってるから、一緒に行こうか。」
「うん!」
沙奈を車椅子に乗せてから、俺は翔太と一緒に大翔の待つ外来へ降りた。
「沙奈。大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
「沙奈は、病気と闘うことを決めてくれた。
だから、大翔。
沙奈にも、これからの治療のことは包み隠さず話してくれ。」
大翔が話す内容は、昨晩前もって大翔から聞いていた。
沙奈に全て、受け止める覚悟があるかどうかがはっきりと分からなかったから。
大翔の話を聞いて、沙奈が全てを受け止めきれるとは思えなかった。
だけど。
今、沙奈の様子を見ると全て話しても大丈夫な気がした。
少しずつ、強くなっている沙奈に話をしても。
2年前からずっと、ここまで治療から逃げずに病気と向き合い、闘ってきた所を1番近くで見てきたから。
これからも、沙奈を支えていく覚悟はとっくに出来ている。
「分かった。沙奈、包み隠さず、全て話すな。」
「はい。」
「…沙奈…。
心臓の機能が、悪くなって心不全を起こしていることは話したよね。」
「…はい。」
「沙奈。
沙奈の今の状態は、心不全を4つの分類で表すとⅢ型に分類される。心拍出量の低下が見られているけど、肺に回る血液循環のうっ血は見られていない。
その証拠に、肺には水が溜まっていない。
心拍出量の低下は、元々の疾患にあった洞不全症候群が原因だと推測する。
それで沙奈…。
やっぱり、ペースメーカーを入れないといけない。
ペースメーカーを入れて、心拍出量の改善を測って、その後は内服治療をしていこう。
沙奈…。
前にも話したけど、洞不全症候群や心不全は完治はできないんだ。
悪化しないためにも、今ある症状に対応していくしか方法はない。」
沙奈は、大翔から視線を外さず真剣な表情で話を聞いていた。
そんな沙奈の姿を見て、大翔は沙奈を抱きしめていた。
「沙奈、ごめんな。
完全に、病気を治すことができなくて。
今の医学の力で、治すことができなくてごめんな。」
沙奈を抱きしめながら、大翔は涙を一筋流していた。
やりきれない気持ちが、大翔にあったんだろう。
沙奈を、1番に大切に考えてくれているから余計だよな。
俺や翔太にも、沙奈の病気を治すことが出来ずに悔しい思いを何度も味わってきた。
目の前で、苦しむ沙奈の姿をただ見守ることしかできなかった。
医者であるにも関わらず、医学はまだ未知なことばかりで完全に治すことができる病気ではないからこそ、日々やりきれない思いが募っていく。
それが、大切な人であればあるほど…
だけど。
どれだけ、自分の不甲斐なさに打ちのめされようと病気は待ってはくれない。
そう悔やんでいる間にも、沙奈は苦しんでいる。
足を止めて、下を向いていてもなんの解決にもならない。
できることが少なくとも、俺達はいつでも沙奈の救いになれるように力になりたい。
その気持ちが変わることなんて、何があってもない。
優しく微笑む沙奈の笑顔に、心から安心した。
心の中でたくさんの葛藤を乗り越え、前を向いて治療に積極的に取り組もうとしている。
沙奈の言葉と一緒に、沙奈の覚悟が垣間見えた気がした。
沙奈なりにたくさん考え、決意を決めてくれたんだろう。
1歩ずつ、確実に沙奈は大人の階段を登り始めている。
病気に対しての覚悟も、これから生きることに対しても前向きになってくれている。
そんな沙奈の成長が、たまらなく嬉しい。
出会ったばかりの頃は、生きる気力を無くしていたから。
その頃の沙奈を知っていた俺と翔太は、沙奈を抱き寄せて目を合わせ微笑んでいた。
「さあ、沙奈。大翔が下で待ってるから、一緒に行こうか。」
「うん!」
沙奈を車椅子に乗せてから、俺は翔太と一緒に大翔の待つ外来へ降りた。
「沙奈。大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
「沙奈は、病気と闘うことを決めてくれた。
だから、大翔。
沙奈にも、これからの治療のことは包み隠さず話してくれ。」
大翔が話す内容は、昨晩前もって大翔から聞いていた。
沙奈に全て、受け止める覚悟があるかどうかがはっきりと分からなかったから。
大翔の話を聞いて、沙奈が全てを受け止めきれるとは思えなかった。
だけど。
今、沙奈の様子を見ると全て話しても大丈夫な気がした。
少しずつ、強くなっている沙奈に話をしても。
2年前からずっと、ここまで治療から逃げずに病気と向き合い、闘ってきた所を1番近くで見てきたから。
これからも、沙奈を支えていく覚悟はとっくに出来ている。
「分かった。沙奈、包み隠さず、全て話すな。」
「はい。」
「…沙奈…。
心臓の機能が、悪くなって心不全を起こしていることは話したよね。」
「…はい。」
「沙奈。
沙奈の今の状態は、心不全を4つの分類で表すとⅢ型に分類される。心拍出量の低下が見られているけど、肺に回る血液循環のうっ血は見られていない。
その証拠に、肺には水が溜まっていない。
心拍出量の低下は、元々の疾患にあった洞不全症候群が原因だと推測する。
それで沙奈…。
やっぱり、ペースメーカーを入れないといけない。
ペースメーカーを入れて、心拍出量の改善を測って、その後は内服治療をしていこう。
沙奈…。
前にも話したけど、洞不全症候群や心不全は完治はできないんだ。
悪化しないためにも、今ある症状に対応していくしか方法はない。」
沙奈は、大翔から視線を外さず真剣な表情で話を聞いていた。
そんな沙奈の姿を見て、大翔は沙奈を抱きしめていた。
「沙奈、ごめんな。
完全に、病気を治すことができなくて。
今の医学の力で、治すことができなくてごめんな。」
沙奈を抱きしめながら、大翔は涙を一筋流していた。
やりきれない気持ちが、大翔にあったんだろう。
沙奈を、1番に大切に考えてくれているから余計だよな。
俺や翔太にも、沙奈の病気を治すことが出来ずに悔しい思いを何度も味わってきた。
目の前で、苦しむ沙奈の姿をただ見守ることしかできなかった。
医者であるにも関わらず、医学はまだ未知なことばかりで完全に治すことができる病気ではないからこそ、日々やりきれない思いが募っていく。
それが、大切な人であればあるほど…
だけど。
どれだけ、自分の不甲斐なさに打ちのめされようと病気は待ってはくれない。
そう悔やんでいる間にも、沙奈は苦しんでいる。
足を止めて、下を向いていてもなんの解決にもならない。
できることが少なくとも、俺達はいつでも沙奈の救いになれるように力になりたい。
その気持ちが変わることなんて、何があってもない。


