すてきな天使のいる夜に~3rd story~

ーside 大翔ー




朝日が昇り始めた頃、沙奈は目を覚ました。



「沙奈、おはよう。」



「おはよう、大翔先生。


昨日は、ありがとう。」




そう言いながら、沙奈は恥ずかしそうに俯いていた。



相変わらず可愛い沙奈を、優しく抱き寄せていた。



「沙奈…。沙奈が、頼ってくれることが何より嬉しいよ。」



これからの治療が、長期戦になるからこそこれからも沙奈には1人で抱え込まないでほしい。



1人で抱えきれる分の心の容量は、ほんの少しだけだと思うから。



そうでなくても、沙奈の心の容量はもうきっと溢れる寸前だと思うから。



これ以上、沙奈に負担をかけたくない。



「大翔先生…。」



「ん?」



「これからの治療のこと、教えてください。」



「えっ?」



「私、ちゃんと聞かないといけないと思うから。


これからも、大翔先生と生きていくためにも私が病気と向き合っていかないといけないから。」




決して揺らぐことのない沙奈の綺麗な瞳が、俺を捉えていた。



そして、その真っ直ぐに見つめる視線が心の準備が出来たと教えてくれているような気がした。




たったひと夜ではあったけど、きっと沙奈なりに考えて答えを出してくれたんだろうな。



そんな沙奈の成長が、素直に嬉しかった。




だけど、まだ完全ではない沙奈の心を知っている。




だからこそ、沙奈が1人で今後の治療方針を聞くのは酷だと思う。





隣にきっと、紫苑か翔太がいないと受け止めきれないこともあると思うから。




「ありがとう、沙奈。」




前を向いて、病気と向き合おうとしてくれている沙奈。




「これからの事は、紫苑か翔太にもちゃんと話しておきたいから。


2人が目を覚ましたら、一緒に聞いてほしい。」




沙奈の背中まである、柔らかい髪を整えながらそう話していた。