胸に付けられていたホルター心電図を外され、エコーの検査、血液検査、画像検査を全て受けた。
「沙奈。今、相当辛いだろ?」
大翔先生は、私の手に触れそう言葉にした。
「うん。」
「大翔、まさか…」
大翔先生のその一言に、紫苑の表情は一気に険しくなっていた。
「ああ…。洞不全症候群の合併症である心不全の初見が見られた。
ホルター心電図からも、おそらくペースメーカーも考えた方がいいと思う。
血液検査からも、心機能が落ちている。
顔色から見ても、だいぶ血の気の抜けた色をしている。
沙奈、やっぱりしばらくは入院が必要になる。
辛いし、苦しい思いもさせてしまうと思うけど一緒に治療をしていこう。
全てを受け入れろとは言わないから。
どんな時でも、俺は沙奈のそばにいるから。」
覚悟は決めていたはずなのに、その診断に涙が流れていた。
頭の中が散らかっていて、収集がついていなかった。
どこかで、期待していたのかもしれない。
大翔先生に、何もなかったと言ってほしかったのかもしれない。
「ごめんなさい…。私…。
ちゃんと、覚悟…してたはず…なのに…」
涙を止めようとすればするほど、溢れ出てくる。
拭いても拭いても止まらない涙に、私もどうしていいのか分からなくなっていた。
私にはまだ、病気と向き合っていく覚悟が足りないのかな?
それとも、私はやっぱり幸せになったらいけなかったのかな?
考えても仕方の無いことばかりが、頭の中で巡っていた。
「泣きたい時は、我慢せず泣いていいよっていつも言ってるだろ。
泣きたい時に、無理に堪えて心の中に押し込むことはしないでくれ。
沙奈のそういう所が、いつも心配でしかたないんだ。
俺がそばにいるから、思いっきり泣いていいよ。」
気づいたら、紫苑に抱きしめられていた。
「よく、頑張ったな…。
沙奈、検査を受けてくれてありがとう。
沙奈。約束しただろう?
沙奈のことを守るって。
絶対に沙奈を、死なせないから。
長期戦になると思うけど、ゆっくり治療していこう。
また、退院したら一緒にデートしような。」
大翔先生は、そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。
そんな優しい大翔先生と紫苑の言葉に、私は頷く事で精一杯になっていた。
どんなに辛くても、乗り越えなければいけない。
いつだって、その道は険しくても私の傍で支えてくれる人がいる。
1人じゃないから、乗り越えられると信じよう。


