すてきな天使のいる夜に~3rd story~




胸に付けられていたホルター心電図を外され、エコーの検査、血液検査、画像検査を全て受けた。




「沙奈。今、相当辛いだろ?」



大翔先生は、私の手に触れそう言葉にした。




「うん。」




「大翔、まさか…」



大翔先生のその一言に、紫苑の表情は一気に険しくなっていた。



「ああ…。洞不全症候群の合併症である心不全の初見が見られた。


ホルター心電図からも、おそらくペースメーカーも考えた方がいいと思う。


血液検査からも、心機能が落ちている。



顔色から見ても、だいぶ血の気の抜けた色をしている。



沙奈、やっぱりしばらくは入院が必要になる。



辛いし、苦しい思いもさせてしまうと思うけど一緒に治療をしていこう。



全てを受け入れろとは言わないから。



どんな時でも、俺は沙奈のそばにいるから。」





覚悟は決めていたはずなのに、その診断に涙が流れていた。




頭の中が散らかっていて、収集がついていなかった。



どこかで、期待していたのかもしれない。




大翔先生に、何もなかったと言ってほしかったのかもしれない。




「ごめんなさい…。私…。


ちゃんと、覚悟…してたはず…なのに…」



涙を止めようとすればするほど、溢れ出てくる。




拭いても拭いても止まらない涙に、私もどうしていいのか分からなくなっていた。



私にはまだ、病気と向き合っていく覚悟が足りないのかな?



それとも、私はやっぱり幸せになったらいけなかったのかな?




考えても仕方の無いことばかりが、頭の中で巡っていた。




「泣きたい時は、我慢せず泣いていいよっていつも言ってるだろ。



泣きたい時に、無理に堪えて心の中に押し込むことはしないでくれ。


沙奈のそういう所が、いつも心配でしかたないんだ。



俺がそばにいるから、思いっきり泣いていいよ。」




気づいたら、紫苑に抱きしめられていた。




「よく、頑張ったな…。



沙奈、検査を受けてくれてありがとう。


沙奈。約束しただろう?


沙奈のことを守るって。


絶対に沙奈を、死なせないから。


長期戦になると思うけど、ゆっくり治療していこう。


また、退院したら一緒にデートしような。」



大翔先生は、そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。



そんな優しい大翔先生と紫苑の言葉に、私は頷く事で精一杯になっていた。




どんなに辛くても、乗り越えなければいけない。



いつだって、その道は険しくても私の傍で支えてくれる人がいる。



1人じゃないから、乗り越えられると信じよう。