「沙奈、検査に呼ばれたよ。」
紫苑と翔太と分かれてから、本を読んでいると冨山さんが車椅子を持って病室に来てくれた。
「うん。」
詳しい検査が必要と聞いてから、不安は消えないままだった。
紫苑と翔太に、話を聞いてもらったのに。
病気が進行していたとしたら、私はもう長く生きられないのかな。
余命なんて言われたら、私生きていくことなんてできるのかな?
今みたいに、笑顔で紫苑や翔太のそばにいられるのかな?
ペースメーカーも考えた方がいいって言われたらどうしよう…。
自分を再び、見失ってしまいそうで怖かった。
「沙奈。」
「あっ、ごめんね。ゆっくりしてたら、冨山さんの仕事邪魔しちゃうよね。」
冨山さんに名前を呼ばれ、私は我に返った。
慌てて靴を履こうとすると、冨山さんに頭を引き寄せられ抱きしめられていた。
「あの…」
「怖いんだろ?」
「えっ?」
「検査。本当は、怖くて仕方ないんだろう?」
冨山さんの言葉に、頷くことが出来なかった。
怖いと言っても、受け止めなければいけない。
昨日、紫苑と話をしたから。
どんな結果であったとしても、原因を明らかにして治療はしないといけない。
生きていくためにも、私が病気と向き合っていかないといけない。
怖くても、逃げてはいけないよね。
私は、深呼吸をして高鳴る心臓の鼓動を何とか落ち着かせることが出来た。
「冨山さん。私、心の準備が出来ました。」
いつまでもこうしてはいられない。
治療をする以外の選択肢は私にはない。
冨山さんは、私の頭を撫でてから車椅子への移乗を手伝ってくれた。
冨山さんに車椅子を押されながら、紫苑と大翔先生の待つ検査室へ向かった。


