【第3火曜日】
 麻衣子は知子から、武夫を自分から遠ざける方法は無いかと相談された。ただ単に出禁にしたところで納得しないだろうから、武夫が知子の店に行きにくくさせるのが良い。一番良いのは知子に新しい男が出来ることだ。そこで麻衣子は自分のボーイフレンド達に協力してもらうことにした。
 まず慎吾。事情を話したら快く協力を承諾してくれた。寧ろ面白がっていた。麻衣子の元夫、しかも1年も経たずに捨てられた男の顔を見てみたいと言った。
 麻衣子としては知子の店にボーイフレンド達を連れてくことにより、知子の店の売り上げに協力したいという気持ちがある。彼らが知子を気に入ってくれても全く気にしない。実際に誰かが付き合い出すかもしれない。それも楽しい、と思っている。麻衣子が毎回違う男を連れてくのを見たら、武夫はどう思うだろうか。男気溢れる麻衣子のボーイフレンド達と武夫では覇気が全く違うことに気付くだろうか。
 武夫は火曜日に来ることが多いらしいので、火曜日を中心に攻めることにする。

 案の定武夫は居た。
 知子に慎吾を紹介し、慎吾が知子を気に入ったような芝居をした。芝居ではないかもしれない。知子は美人だから慎吾が気に入っても不思議はないもの。武夫に聞こえるようにあからさまに知子を誘っている。知子も色よい返事をしている。武夫は一瞬気に入らなさそうな表情をしたが、麻衣子と目が合うとそっぽを向いた。こないだと違う男を連れて来やがって、しかも知子に手を出してやがる、とでも言いた気。
 作戦第一弾成功。

「麻衣子の同級生、美人だなぁ」
「でしょう?」
「麻衣子の元夫もなかなかのイイ男じゃんか」
「外見はね」
「まぁな、お前が捨てるぐらいだからたかが知れてる」
「ご理解戴けて光栄です」
「俺、知子さんと付き合おうかな」
「良いと思うよ。知子はほんと良い子だから。慎吾を幸せにしてくれると思う。その代わり知子を不幸にしたら私が許さない」
「いよいよ麻衣子とお別れかぁ」
「慎吾には幸せになって欲しいわ」
「おかげ様で俺は麻衣子と居て今充分幸せだけどな、麻衣子は他の男たちのことも幸せにしてやらないとなんないもんな」
「ご理解戴けて光栄です」