そしてついに訪れた次期社長先行発表会。



ステージ台の上に立つ俺と昴さん
そこから見渡すと辺り一面
従業員で埋め尽くされていた



次期社長候補決定権は基本
社長の権限なのだが



不正だと思われない為に
今回ばかりは従業員一同の
公平な投票によるジャッジで決まる



正直、頭脳や知識は
昴さんが勝っているが
功績はほぼ互角



絶対負けない自信があるわけではない
ドキドキする…運命の時



そして明日は卒業式
うまいこと終われば間に合うはず…



「ただいまより次期社長先行発表会を始めます。従業員一同の公平な投票により、より多くの票を勝ち取った者が次期社長です。」



社長直属の部下が
司会を進行してる



「それではステージ前にある投票箱に、どちらかの名前を書いて投票してください。制限時間は30分」




皆各々、紙とペンを手にすると
思うがままにペンを走らせる



続々と投票箱に紙を入れては
去っていく従業員



この待ち時間がさらに
ドキドキを加速させる



「30分経過したので終了します。皆様投票できたみたいなのでこれから集計致します。」



司会が隣の人に投票箱を
回収して集計するよう促すと
その人は投票箱を持って
隣の部屋に消えていった



ステージに立つ俺たちは
みんなの方を向いて立っている。


背中には巨大なスクリーン。



隣には負ける気なしの
勝ち誇った顔した昴さん



どっと不安が押し寄せる
負けたら全てを失う



何より昴さんを救えない
それは要を救えないことにも繋がるーーー。