「全然おかしくなかったよー!すっごく楽しそうだった!」



「それなら良かった…ってやば!今日はこの後、新しいアニメの収録があるんだった!もう行かないと!」




ふと時計を見た私は
時間が押していることに
気づき慌てて席を立つ



「今日はほんと来てくれてありがとう!また連絡するね」



玄関先で可愛らしく微笑む
鈴に見送られながら楠家を後にした。


収録場所のスタジオに着くと
見覚えのある姿が目に入る



「優亜、おはよう」



スタイルが良くて美人で
ちょっとだけ腹黒いけど
誰よりも優しい私の友人



「菜々おはよ!デビューしてから仕事一緒になるの久々だね!!」



「今回のアニメのシナリオ作ったの俊なの。」



「うっそ!マジ?俊くんもシナリオライターとして頑張ってんだね!そういや他にもちゃんとした小説の単行本出してたよね?ラノベ系だったし!アニメ化しないかなー」




そしたら声担当したいねー
なんて他愛もない会話をしつつ
監督やらマネージャーさんたちに
挨拶をしに行く。



「あ、ゆあちゃんと菜々ちゃん!」



そんな時、突然背後から
名前を呼ばれ振り返ると
そこには千夏ちゃんがいた



「千夏ちゃんおはよ!」


「おはよう」


「この3人でやるのは初めてだね!!」



相変わらず天使のような
可愛い笑顔を見せる千夏ちゃんに
こちらも自然と頬を緩ませる



ただ、菜々だけは
ずっと真顔のままだった。




こちらもこちらで
相変わらずクールなんだから。



「監督!!大変っす!!」



そこへマネージャーの1人が
血相を変えて監督のもとへ
飛び込んできた



「ん?何だ?そんなに慌てて…」



「今日の主人公役の寺松さんが事故で病院に搬送されたらしくて!!他に代役頼めないかキャラに合いそうな声優さん片っ端から連絡したんすけど、みんな別の収録あってこれなくて!」



「何してんだあいつは!!翌週にはもう放送開始だから今日収録しないとまずいぞ!!」




なんだって…
なんというハプニング!!
こんなことがあっていいのか!?



私たちは監督とマネージャーの
やり取りを尻目に顔を見合わせる



2人とも心配そうに
眉を潜めたーーーーーー。