「ちょっと…ーーーんっ!?」
エレベーターの扉が閉まりきる前に
私を隅に追いやってすぐ強引に
だけど優しくキスをする
もし、エレベーターに
他の人が入って来たら
どうするつもりなんだろうか
ってそうじゃなくて!!
いや、それもやばいけど…
長く深く何度も角度を変えた後
その舌が私のと絡まる
「ゆ、やぁ…。あっ…んっ」
「はー、もうほんとエロすぎ。そーゆー顔を俺以外に見せんじゃねーぞ?」
やっと唇を離したかと思えば
ちょっと赤みを帯びた頬をして
艶めかしく目を細めながら
真剣な顔をしている
そーゆー顔…
たぶん私も顔を真っ赤に
火照らせているのだろう。
俺以外って…
あんた以外に誰が見んのよ。
「裕也以外に見せることなんて一生ないよ」
私が浮気するとでも
言いたいのか?
と心の中で悪態をつきながら
拗ねたように唇を尖らせる。
「お前が見せる気なくても、無理やり見ようとするやつがいるかもしんねーだろ。だからもうちょい警戒して。職場一緒じゃないし、常に守ってやれるわけじゃねーから」
すると紀田は珍しく
困ったように笑うと
私の頭を優しく撫でた。
あぁ、もう…ほんと。
いつもは口悪くて変態で
ムカつくことしか言わないけど
たまに、こーやって
優しくするのズルい。
だから私は紀田から
離れられないんだよ
いや、離れる気はないけど。

