「なんかバラエティ番組に出てほしいって言われたらしくて」



「へぇ。あいつと出るんだ?」



「だって…仕事だし…?」



「はいはい、分かってますよー」



私の言葉に今度は深い
ため息をついたかと思えば
拗ねたように唇を尖らせる紀田



まるで子供みたい。



「まーた、拗ねちゃって。心配しなくてもただの仕事仲間だから大丈夫だって!」



「は!?拗ねてねーし!!」



「はいはい。じゃ、私お風呂入ってくるね」



後ろでギャーギャー騒ぐ
紀田を放置して私は
脱衣所へ向かった。



とにかく…バラエティ番組に
出させてもらう以上今よりもっと
気持ちを引き締めないと。



これからはアニメにちなんだ
ラジオ番組とかも増えるだろうし
それらへの第1歩になるわけだ…




さらには新人の私からしたら
大先輩たちしかいないわけだし
何しろテレビ中継だから顔も
出るわけで…失敗はできない…。




そんな一抹の不安を振り払うように
着替えをぎゅっと握りしめたーーーーー。