あの学校に入学してよかった。
あの日君に出会えてよかった。



君の隣の席でよかった。




本当に感謝してる。



俺が何度と啄むような
キスを繰り返してると



突然ガチャっとする音が聞こえ
中から出てきた人物と目が合った



「あ、おまわりさーん!人ん家の前で姉貴襲ってる変態がいまーーーぶっ!?」



俺は慌てて優亜から離れ
その人物の口を手で思い切り塞ぐ



「シスコンおバカくん、ちょっと黙ろうか?」



「んーっ、んーっ、!はなせ!ばか!」



その人物は優亜の弟で
柚は俺の手を跳ね除けると
俺をギロッと睨みつける



正直、別に怖くない。



けど睨みつけたかと思いきや
すぐにそれは穏やかな笑顔に変わり



「帰ってきたんだね、おかえり」



優亜とそっくりな笑顔で
そう言ったーーーーーー。



「柚。お前可愛いな、俺と結婚して?」



「え?はっ!?何言ってんの!?きも!死ね!」



俺の発言に酷い罵声を浴びせて
顔を真っ青にしながら家の中に
逃げ込んでいった



その後ろ姿を見て
クスクス笑ってると



ぎゅっと後ろから
洋服の裾を摘まれる感覚がして
そちらの方に視線をやると



優亜が拗ねたような顔で
少し俯いて



「私のなのに」



と口を尖らせた



なんなのこの子?
どんな教育受けたら
こんな可愛くなるの?



「弟に妬いたの?」



「べ、別にそんなんじゃないし!」



俺の言葉にプイッと
そっぽ向く優亜


可愛すぎだって。



「ばーか、俺は優亜だけのに決まってんだろ。つーか、まず俺が離さねえよ」



そう言って優亜の唇に
触れるだけのキスをすると



顔を真っ赤にして
口元を抑える



俺はクスクス笑いながら


「これからもよろしくな」



それだけ言って身を翻し
自分の家への道を歩き出した。



後ろから


「紀田のばーか!!///」



って言う照れ隠しの
悲痛な叫び声が聞こえたが



それすら愛おしい。




いつか…プロポーズする時は
ちゃんと素直になるから…



それまでは素直じゃない
意地悪な奴でいさせて?




*紀田 side END*