「なんで貴方はいつもいつもそうなんですか!?勝手に1人で全部決めて、何でもかんでも自分で背負って、どうして私たちを頼ってくださらないのです?
ここにいる半分の従業員…みな不知火家で坊っちゃまとお嬢様が小さな時から一緒に過ごしてきた家族ではありませんか!!
ご両親が亡くなって辛いのに、自分は長男だからって…私たちを路頭に迷わせないよう、両親の財産を上手く使って助けてくれたじゃないですか!
ここにいる不知火家の使いはみな、坊っちゃまのことが大好きなんですよ!?小さな体で優しい心を持った坊っちゃまを私は知っています!
それは今だって変わらないじゃないですか。自分の両親が悪者と知って…それだけの罪悪感を感じているなら…坊っちゃまは腐った人間なんかではありません!」
鮫島上司は涙を流しながら
でも強く真剣な眼差しで
昴さんに語る
そこには紛れもなく
"愛情"がこもっていて
黒くくすんでいた昴さんの
瞳が綺麗な輝きを取り戻す
「さ、め…じまっ…か、なめ!ご、ごめん…おれ…俺!!」
ボロボロと大粒の涙を流して
泣きじゃくる昴さん
そんな昴さんを抱きしめて
静かに涙を流す鮫島上司
そんな2人の元に駆け寄る
不知火家の使いの人たち
そんな光景を微笑ましく見つめる要。
終わったのか…?
俺は勝負に勝てたのか?
昴さんを救えた?
要を救えた?
いいや、違う。
救ったのは俺じゃないか。

