「そうだったのか…」
父さんはそう呟いて
力なくまた席についた
「お兄ちゃん!どうして言ってくれなかったの!?」
今度は要が顔を歪ませて
再び昴さんに詰め寄ると
昴さんはさらに苦しそうに
顔を歪ませて
「言えるかよ!!妹の本当の気持ち知っててズタズタに引き裂いたのに、今更…本当に悪いのは自分たちの親でしたなんて!!」
「ーーーーーーーーーーーーっ!?」
「俺はお前からもいろんなものを奪ってきた…実の妹ですら復讐の為に利用してきたのに…本当の悪者を知って誰に復讐していいかわからなくなって…
でも止めることもできなかった…もうそこまで俺は…人として腐ってたんだよ。」
要は何も言わずにただ俯いてる
俺も俯いてはいないが…なんて
言っていいのか分からず口ごもる
するとカチャっと
金属音がして
それを見て背筋が凍った
「もう、終わりにさせてくれ…疲れた」
力なく笑う昴さんの手には
折りたたみナイフが握られていて
それを自分の首まで持っていこうとする
「坊っちゃま!!」
鮫島上司が叫ぶが
もう昴さんの耳には
届かない
ダメだ!ダメだダメだダメだ!!
ぜってぇ、死ぬとか許さねえ!!

