となりの紀田くん-season 2-




「そうだったのか…」



父さんはそう呟いて
力なくまた席についた



「お兄ちゃん!どうして言ってくれなかったの!?」



今度は要が顔を歪ませて
再び昴さんに詰め寄ると



昴さんはさらに苦しそうに
顔を歪ませて



「言えるかよ!!妹の本当の気持ち知っててズタズタに引き裂いたのに、今更…本当に悪いのは自分たちの親でしたなんて!!」



「ーーーーーーーーーーーーっ!?」




「俺はお前からもいろんなものを奪ってきた…実の妹ですら復讐の為に利用してきたのに…本当の悪者を知って誰に復讐していいかわからなくなって…




でも止めることもできなかった…もうそこまで俺は…人として腐ってたんだよ。」



要は何も言わずにただ俯いてる
俺も俯いてはいないが…なんて
言っていいのか分からず口ごもる



するとカチャっと
金属音がして



それを見て背筋が凍った



「もう、終わりにさせてくれ…疲れた」



力なく笑う昴さんの手には
折りたたみナイフが握られていて
それを自分の首まで持っていこうとする



「坊っちゃま!!」



鮫島上司が叫ぶが
もう昴さんの耳には
届かない



ダメだ!ダメだダメだダメだ!!
ぜってぇ、死ぬとか許さねえ!!