*アメリカ*

裕也side



これは少し前の……
俺がアメリカに発つ話まで遡る。



必ず帰るから。
優亜とそう約束して
俺はアメリカへと旅立ったーーー。



ーーーーーー目的はただ一つ
不知火 昴と決着をつけるためだ。




「要、とりあえず一緒に父さんの会社に行くぞ」



「そうね」



アメリカへ一緒についてきた女
不知火 要は昴の妹



日本では散々な目に合わされたが
今は俺に協力をしてくれている。



「てか…父さんとも話し合わなきゃダメだな…」



高校に上がる前に喧嘩別れをして
アメリカへ旅立った両親



人殺しの息子として蔑まれ
一度全てを失った日々を
今でも少し思い出す。



ほんとに苦痛だった。



アメリカ、ワシントンに位置する
でっかい高層ビルに入り



受付嬢に紀田 ミチルの
息子だと伝えたーーーーー。



社長室に案内され
躊躇わず足を踏み入れる



目の前には懐かしい人物



もう2年ぶりぐらいか。



その男…俺の父さんは
俺と同じ金髪をなびかせ
フワッと優しく微笑んだーーー



ーーーーーーーーーーーー



「父さん…話がある」



重い沈黙を引き裂いたのは俺だ。
横には要もいる。



どこか複雑そうな顔して
父さんを見る要



無理もない。



俺の両親が殺したのは
要と昴の大切な両親だったから。



「久しぶりだな…裕也…。それに要」



要は何も言えずに俯く



「すまなかった…!!」



いきなり立ち上がった父さんは
床に土下座して謝る



謝って済む問題ではないけど
なんだか昔より雰囲気が丸くなった
ような気がするーーーーーー。



俺から軽蔑されたような眼差しを
浴びたあの日から父さんも
いろいろ考えたりしたのだろう…