それぐらいしか言ってやれない俺はとことん無力だろう。



「その子守りたいって思うなら警察に行くのもひとつの手段だろ。産んでやれよ。その子に罪はないだろ」


「そんな簡単なことじゃない…」


「うん。それでも俺は簡単なことしか言ってやれない。悪いけど、夏美が求めてるような相手にはなれない」



夏美が俺に何を求めてきていたのかなんて会った日から分かっていた。



「そういう人がいるの?」



と夏美は俺に視線を向ける。



「うん。幸せにしたいって思ってるし、その人無しじゃ俺が無理なんだ」