<グスタフ皇国の王宮・謁見の間・10時>

6人の参加者は、
皇帝の前に準備されている椅子に、順番に着席した。

それぞれが一歩前に出て、
皇帝に向けて、挨拶と自己紹介をする。

アンバーは
主催国のホストとして、
全く申し分のない挨拶をした。

最後は魔女の国、クラリスだ。

椅子に座ったまま、何も言わない。横を向いている。

イーディスが皇帝に向かって、
うやうやしくお辞儀をした。

「皇帝陛下および参加者の皆様、
我が(あるじ)(うるし)の木に激突いたしまして、
このような有様でございます」

会場に失笑の波が広がった。

「ご挨拶はまたの機会に、
お願い申し上げます」

参加者は興味深々である。

なにしろ、魔女の国は、
老婆しか見たことがないから。

でも、クラリスの顔の腫れ具合と
いったら・・
衝撃的な登場といえよう。

アンバーはクラリスの様子を見て、痛々しいと感じた。

なぜ、使い魔が、面倒をみないのか・・?

それだけではない、
(あるじ)を、まるで笑いものにするかのように接している。

「それでは失礼いたします」

イーディスはわざとらしく
優雅なお辞儀をすると、
クラリスの手をとった。

その時
アンバーの使い魔であるミエルが、急いで駆け寄ってきた。

「腫れがひどいわ。
手当をしましょうね?」

イーディスが、ミエルの顔を見た。