<グスタフ皇国の王宮・執務室・15時30分>


「今年の交流会の参加者について、報告してくれ」

家庭教師は
皇帝の前にひざまずき、6枚の紙を差し出した。

「アンバーは
どんな仕上がりになっている?」

家庭教師は答えた。
「アンバー様はすべてにおいて、
真面目に取り組んでいらっしゃります。
特に優秀なのが、幾何学(きかがく)と地理です。

最近は
設計や治水工事などにも
ご興味があるようで、よく質問を
されています。」

皇帝は報告書に目を通しながら
「あいつは小さい時から、
機械いじりがすきだが・・・
武術や剣技はどうなのか?」

家庭教師は小首をかしげながら
「そこがちょっと心配です。
体もまだできていないので、
仕方がない部分もありますが。

グスタフ皇国の標準から言えば、
中の下くらいでしょうか。
よく練習はなさっているのですが・・」

「なかなか結果がでない・・
ということか」
皇帝はうなずいた。

グスタフ皇国は武術を重んじる。

アンバーはその点では、
困難さを抱えていると言えよう。

家庭教師は続けた。
「アンバー様は、総合では1位を取ると思われます。
他の国の武術や学力は、
たいしたことがないと、情報を得ているので」

皇帝の目が
6枚目の参加者の報告書に、
目が釘付けになった。

<魔女の国 
クラリス・グランビア>

グランビア家の次期当主。
そしてエリーゼの娘。

絵姿は・・ついていない。
どのような娘なのだろうか。
エリーゼに似ているのだろうか・・・

報告書には
名前だけしか記入されていない。
そっけないものだった。