<小高い丘の上・16時30分>

アンバーもクラリスも、
魔法に酔ったようだ。

アンバーの手がクラリスの頬を
包み込むように触れ、
唇をそっとクラリスの唇に重ねた。

舌が少し触れたが、そこで唇は離れた。

ずっとこうしていたい。
薬草リキュールより効く。
アンバーはクラリスの髪に
唇をよせた。

クラリスはゼラニウムの匂いがした。
茂みに居たからだろう。
そしてクラリスは目を閉じて、
グスタフ皇国の紋章入りペンダントをしっかり握りしめていた。

「はぁー、これでいいだろう?
ミエル」
木陰にいるイーディスは
ミエルを抱きしめた。

「だめっ!まだ別の仕事が
残っているでしょ!」
ミエルは厳しく言い、
迫るイーディスの口を、手で押さえつけた。

「わかったよ・・」
イーディスはため息をつき、
暗闇に消えた。