<交流会6日目・平原・15時>

「ほら、あったわよ?」
クラリスが紙をひらひらさせた。
「見せてくれ!」
アンバーがすぐに駆け寄り、
紙を取った。

<ドリーネを証明するものを持ってくること>

「ドリーネって何?」
「カルスト地形の事だよ。
もう少しで右に曲がれば、
石灰岩が岩みたいに、突き出ている
平原に出るんだ」

アンバーはさすがに地理に詳しい。
「・・・・?」

クラリスは
訳がわからないという顔をした。
「石灰岩のかけらを持って帰れば
いいんだ」

アンバーは
解答を見つけたのでほっとした。
たぶん、
うちの家庭教師が問題を
作ったのだろう。
これはアンバーでなくては
できない。

それに、
山にはいらなくてすむのが
ありがたい。

「この辺りは地底湖があるんだ。
先には鍾乳洞もある。
地下には
岩の宮殿みたいな所があるんだ。

何回か家庭教師と一緒に
来たことがある場所だよ」

「とにかく、そこに行って、
石ころを拾ってくればいいわけね」

「まぁ、そういうわけだ」
アンバーは念のため、
磁石と地図を確認するため出した。

「あの・・アンバー・・
あなたが1位になったら・・」

「楽勝だ。すぐ帰れる!
行こう!!」
アンバーは速足で歩き始めた。

山に入ることなく
この課題は終了できる。
アンバーの心は軽くなった。

クラリスは一瞬、
困惑した表情を見せたが、
アンバーの後ろを追った。

平原に
岩がたくさん突き出ている風景は
異様に見える。

草原と言うより、墓地のようだ。
突き出る岩は墓標だ。

アンバーは
岩をナイフで削り取り、
そのかけらをポケットに入れた。

「いいよ。これで大丈夫だ」
課題は終わった。
あとは一刻も早く、ゴールせねばならない。
何としても1位は取りたい。

「クラリス!走るぞ!」
走り始めたアンバーの足を
草が絡めとった。

続いたクラリスも
何かに背中を押された。

その瞬間

二人は穴に落ちた!