豆腐と私の50日


 EP.16

 十九時を回ってから、家についた。

 帰宅してすぐにお母さんに聞いた。
 
 「お母さんは大学とかどうしたの?」

 ソファに預けていた体を起こし言う。

 「お母さんが大学行ってるように見えんの?」

 「行ってないの?」

 「行ってない。うちお金なかったしね。それに勉強嫌いだし。高校出て就職した方が楽だと思ってたからね。なに。大学いいとこ見つけたの?」

 「いや、今日さ、みっちーがさ――。」

 私は話した。

 「へぇー。東大ねぇー。東大か。」

 「だからどうなのかなって思って。」

 「東大がどうなのかって私に聞いてんの?」

 「まぁ、将来のことだし。親だし。」

 「そんなん私に聞いたって答えなんか出ないよ。大学のことなんて何も知らないし。まぁでも大学で将来は結構絞られるのかもね。医学系に行くのか専門的な何かに行くのかとかでさ。」

 私のやりたこと――。
 特に見当たらなかった。

 「本読むの好きなんだから、次は書く方になってみるとかは?あたしにあんたのことはわからん。人間なんてわかりあえない生き物なんよ。」

 先が見えない。

 真剣に考えを巡らせている私の前で。
 お母さんは二十枚の小分け包装をされたせんべえを見つめ、残りの枚数の少なさを嘆いていた。