「急にいなくなったので、どこに行ったのかと思って探してしまいました。このお店、バルコニーがあるんですね」

「うん、夜景が綺麗だよ」

俺の隣に琴葉ちゃんが立つ。琴葉ちゃんは夜景をジッと見つめ、「本当に綺麗ですね!」と笑う。もう愛しくて、止められない。

小さくて華奢な体を、気付いたら抱き締めてしまっていた。胸が何度も高鳴って、頬が熱くなっていく。

「月斗さ……」

琴葉ちゃんが恥ずかしそうに言うけど、離してあげられない。唇が自然と動いた。

「俺、琴葉ちゃんのことが好きです。本気で好きです」

歌詞みたいなかっこいい言葉なんて出てこなくて、直球で伝えることしかできない。それなのに、こんなにも緊張して恥ずかしくて、どうしたらいいかわからない。

「琴葉ちゃんが俺のこと、何とも思っていなくても、俺は琴葉ちゃんのことがーーー」

「Don't say any more, I'll be embarrassed(それ以上言わないでください。恥ずかしくなるので)」

急に英語で言われて、キョトンとしてしまう。琴葉ちゃんは顔を真っ赤にしながら続けた。