°。


「……校舎裏…?」


碧先生に尾行して着いたのは、あんまり人が来ない校舎裏。


えぇ?!碧先生ヤンキーなの?!

校舎裏ってそういう場所じゃないの?!

違うの?!


…校舎裏でいったい何を…?


まじまじと見つめていても、碧先生はなにもしない。

うん。なんにもしない。

なにもしない?!


ただボーッとつったって、空を見上げてる。


…これは、危ない人なのでは?


……こわい、見ちゃいけないものを見た気がする


もう帰ろうと背を向けた時、紅葉の耳に届いたのは聞いたこともないくらい優しい、碧先生の声だった。


「また、雨宿りに来たの?」

「君はいつも可愛いね」


__へ?


もう一度碧先生の方へ振り返って、視線をじっとたどってみる。


そこにいたのは、一羽のスズメだった。


そしてスズメを見つめる碧先生の横顔。


……わ…


碧先生が……笑ってる…


スズメに話しかける碧先生の顔は、ほころんでいた。

とても優しく、とてもやわらかく。


初めて知った。


碧先生の笑った顔は、


すごく優しいってこと。