「おはようございます」

地下駐車場に車を止めて重役フロアまで直通のエレベーターで上がると、雪丸さんが俺たちを待っていた。

「「おはようございます」」
俺と礼さんの声が重なる。

「すみません、お休みのところ。礼も悪かったな」
休みのところを呼び出してしまったことを詫びながら、今日の資料を差し出した雪丸さん。

「先方とは昼食会場で合流するように調整しています。午後からは都内の現場を数ヶ所回って、夜は社長も交えて一席設けていますので今のうちに資料に目を通しておいてください」
「わかりました」

渡された資料はかなり大量ですべて見るのは時間もかかるだろう。しかし、重要なところには付箋やマーカーをかけてくれていてわかりやすくなっていた。

「これ、遥が準備したの?」
「ええ」

さすが遥。今は萌夏ちゃんのことで仕事どころじゃないはずなのに、抜かりがない。