「……仮に、お前がタイムスリップしたとする。だけど、お前と俺は違うし、そもそもタイムスリップとタイムリープも違うだろ?」 そう考えを話すと、ミクルはそっと、懐中時計を差し出してくる。 「この懐中時計の竜頭をまわして、タイムスリップする場合には二時間分、タイムリープする場合には一時間長針を戻すの。そうすればできるから」 「……こんな懐中時計で?」 俺はいくらか疑いの目をそれに向ける。 それは、ひんやりとした感触で少し重い。 錆びていること以外はいたって普通だ。