「……それじゃあ。試してみる?」
「……え?」
顔を上げると、ミクルはもういつも通りの無表情に戻っていて、その代わりに手には懐中時計が握りしめられていた。
それは電灯の光を反射して鈍く光っていて、ところどころが錆びていることから、かなり古い品物だということが見て取れた。
「なんだよ、それ」
「懐中時計」
いや、それはわかってんだよ。
こいつ絶対わざと言ってるだろ。
そんな意味でミクルを睨むが、ミクルはまるで気にせず、無表情のまま時計を撫でる。
「タイムリープって、知ってる?」
「タイムリープ?」


