急に静寂が現れて、俺は少しの緊張を覚える。 ミクルの髪が風に梳かれて、ふわりと広がった。 光を反射してきらめくそれは、あの日穂希と見た月を彷彿とさせた。 『……今日は月が綺麗だね』 ……と同時に、穂希の微笑みが頭に浮かんできて、奥歯を噛み締めた。 ……なんで、何も言わずに死んだんだよ、穂希……。