俺は穂希をまっすぐに見つめる。 「穂希、お前何するつもりだよ」 「……今日は月が綺麗だね」 「そんなことは今聞いてないんだよ」 俺の質問には答えず、穂希はまつげを伏せて、唇にうっすらと笑みを浮かべた。 今まで見たことのないような、大人びたその表情に、つい目を奪われて、立ち尽くす。 黒髪が月の光を反射して艶めいた。 穂希はすっと背筋を伸ばして立ち上がると、くるりとこちらを振り返った。