そろっと穂希の様子を伺う。
すると穂希はうつむきがちに何かを呟いていて、その顔は青白く見えた。
「っ……冷やかしなら、やめてくれ」
「冷やかしじゃない。私は本当の事を言っただけよ。信じようが、信じまいが、別に私には関係ないもの」
「でも……!」
穂希の動揺しきった姿にふつふつと怒りがわいてきて低く呟くと、ミクルは無表情のまま少しだけ首を上げた。
ミクルの飄々とした声に俺はうっと口ごもり、口を真一文字に結んだ。
そう言い切るミクルは嘘をついているかのようには見えなくて、だからこそ、俺は何も言えずに唇を噛み締めた。
俺たち三人は周りの喧騒から隔たれていて、沈黙に包まれている。
サァッと風が吹いて、穂希の黒髪とミクルの金髪が宙に舞う。


