「もし……」
「え?」
「もしも、付き合ったのが都生だったら……お似合いなんて言われて。あんなこと、言われなかったのかな……?」
「え……」
穂希がポツリと漏らした言葉に、ドキリと心臓が跳ねた。
今、なんて……?
『あんなこと』……? 何の事だ?
……いや、それよりも。
俺と穂希が付き合うなんて……そんな事があり得るのか?
今まで俺らは幼馴染で、兄弟みたい関係で。
それはこれからも変わらないと、そう思っていたのに。
いつしか穂希は苦し気に眉を寄せていて、俺は何も言えずに穂希と見つめ合う。
ふいにサァッと風が吹いて、穂希の黒髪が穂希の表情を隠した。
そのまま見つめ合っていると、ふいに後ろから足音がして、肩をぽんと掴まれた。
「うわっ⁉」
「都生っ⁉」


