……でもまあ、喜んでくれている姿を見るのは気分が良いから。
少し気恥ずかしくて黙ったままでいると、穂希はぎゅっと腕を伸ばして抱き着いてきた。
「流石都生! 私の事よくわかってる~! ほんと好き!」
「っ……」
ふいのことで、ドキッと心臓が跳ねたが、冷静を装う。
「好きとか、簡単に言ってんじゃねーよ」
「あはっ、ごめんごめん。……でもさ」
「ん?」
穂希は笑いながら体を放すと、一歩後ろに下がった。
夏の暑さはそのままに季節は確実に秋に向かっていて、あたりはもうすでに薄暗くて。
蛍光灯に照らされた穂希の微笑はなんだかいつもと違って。
俺はそれから目が離せなくなる。


