「……都生? どうかした?」 「っ……」 『都生』 その二言を聞いただけでも、目じりが熱を持ったのがわかって、慌てて顔をそらす。 俺は……こんなにも穂希に、名前を呼んでほしかったんだな。 たった二言が、こんなんも心を揺さぶるなんて、知らなかった。 俺は唇を噛み、……顔を上げて微笑んだ。