「奇遇だね、お嬢様…。」
学校では、お嬢様と
呼ぶなっていう命令
今まで一度も破ったこと
なかったのに…
隣の女性をチラ見する
学年カラーで彼女が
3年生であることは
すぐにわかった…。
レイの彼女?
彼女の前だから
私の名前を呼びたくなかった?
そう思ったらなぜか
ズキンと胸が痛んだ…。
「だね…」
文化祭、この人と一緒に
回ったのかな?
いつ知り合って
仲良くなったんだろう?
ていうか彼女いるのに
私にあんなことしたの?
いろんな思考が
頭に浮かんでは消える
なんで私、こんなに
レイのことばかり
気にしてるんだろう?
「私は彼女を送ったら戻りますので…行こう、千秋」
「うん」
千秋と呼ばれた
その人はレイの服の
裾を摘まんで歩き出す。
”千秋”
レイは確かに彼女のことを
そう呼んだーーーーーーー。

