二人の記憶どころか
烏間 聖という人間が
最初からこの世界に
存在していなかった
事になっている?



一体どういうことなの?



「おはようございます」



困惑中の私の前に
レイが現れた。



「レイ!!聖くんわかる?ほら昨日戦った雪の彼氏!!」



「知ってますよ?」



「何で?レイも私も間違いなく記憶しているのに…。何でみんな知らないの?」



「それがblood vampireにおける最大の掟なんです………」



「最大の掟?」



「ヴァンパイアに関与してしまった人間の記憶は消さなきゃいけない事になっています………」



「そんな。じゃあ雪は愛していた聖くんの記憶さえないっていうの?そんな悲しい話しある?大切な人を失って悲しむ事すら出来ずに全てを忘れるの?」



「ヴァンパイアは人に存在を知られてはいけないんです………そのためには記憶を消すしか…」



「そう、ヴァンパイアって残酷。誰かを失うたび人はみな全てを忘れるのに私たちは記憶が消えない分、苦しむんだね。」




「お嬢様……」



「契約は解消よ」



「りりか様!!」



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私はそんなに強くない。
みんなの分の悲しみを
全て背負うほど強くない。



それにレイは自分を
ヴァンパイアだって言うけど
ヴァンパイアって人の血を
吸うんじゃないの?



血を飲まないと
生きていられないのに



彼が人の血を吸ってる
とこなんて見たことない。



レイは本当に
ヴァンパイアなの?



聖くんだって
本当はヴァンパイアじゃ
なかったんじゃないの?



みんな助かる道はなかったの?



「あ、りりかいた!!もう!! 一時間目終わっちゃったよ?」



「ごめんごめん!!」



そうだ、これで良い…
私はそもそも普通の
生活を望んでいたじゃないか。



なんで契約なんか……
私は普通の高校生
普通の女の子として
生きていくーーーーーー



本当にそれでいいの?