「潤、ねぇ!どのボタン押せばいいの!?」

準備室のドアが開いて、背中を叩かれる。

勢いで前につんのめって、棚に寄りかかる。

「あっご、ごめん。何つっ立ってるの、準備室になんかある?」

呆然として冷えた手を握りしめる。

何だ今の。

幻?

「潤? どうしたの?」

敦子が首をかしげる。

敦子の方を見ると、コンピュータ室は明るかった。

「電気、どこで……」

「え?入り口の左側にスイッチあるじゃん」

いや、さっき見たときはなかったぞ。

だから俺は準備室に……

言って準備室から出る。

明るい教室に照らされて、俺は手に付いた赤いモノに気が付いた。





「ごめんっ、私が開けたときに引っかけたの?」

敦子が焦って教卓からティッシュを引き出してくる。

違う

違うこれは俺の血じゃない。

あの、目の持ち主の血だ。

「敦子」

「何?」

「お前、 もう絶対1人になったりするなよ」

俺の言葉に敦子が首をかしげると、丁度河田と山岡も教室へ入ってきた。

俺は手に付いた血をティッシュでこすり取ると、ゴミ箱に放り込んで、教卓のパソコンの電源を入れた。